テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

辿るは文豪さんの足跡。

2011-12-06 23:18:18 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 息がホワァ~っと白くなる寒~い火曜日でしたね。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 こんなひにはァ、やきいもッ♪」
「がるる!ぐるるっぐるがるがるっ~?」(←訳:虎です!焼き芋っ?どこどこっ?)

 ……焼き芋ご所望の御方は、焼き芋屋さんへ、どうぞ。
 活字マニアの方々は、さあ、読書タイムですよ、こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― 旅する漱石先生 ――


 
 著者は牧村健一郎さん、2011年9月に発行されました。
 『~文豪と歩く名作の道~』と副題が付されています。
 著者の牧村さんは、漱石さんの研究家として知られる御方です。

 前回の記事では、ドラマ『坂の上の雲』についてちょっとだけ触れましたが、
 夏目漱石さんもまた“あの時代”に生きた文学者さんでした。
 正岡子規さんの親友でもあった漱石さんが、
 どこへ、どのような旅をしたのか――
 日本を北から南まで、
 そして海外までも、
 著者・牧村さんは痕跡を追って訪ね歩いてゆきます。

「すたーのォ、おッかけェ、みたいィでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:或るいは警察犬のように!)
「においィをォ、たどれッ!」

 時間が経過し、実際の痕跡は多くが消えてしまいましたが、
 漱石先生の足跡は、
 さまざまな場所に残っています。

 江戸っ子さんなのに、本籍を移したのは北海道の岩内(いわない)。
 空襲で失われてしまった早稲田の《漱石山房》。
 危機一髪で戦火を逃れ、東北大学に現存する漱石先生の遺品と蔵書。
 『それから』の舞台となった神楽坂。
 『虞美人草』には大森、
 『こころ』には鎌倉や雑司ヶ谷が登場します。
 そして、四国・松山。
 英語教師として一年間を過ごした松山は、
 子規さんの郷里でもありました。

「それからァ、ろんどんッ!」
「がるるー!」(←訳:英国だー!)

 漱石さんの英国留学時代といえば、
 霧の都でど~んよりと落ち込み、
 精神は衰弱してひきこもり状態……
 というのが通説ですが、
 牧村さんは、意外な“ロンドンでの素顔”を探し当てます。
 
 コヴェントガーデンやテートギャラリーへお出掛けし、
 友人たちと劇場で観劇、
 公園でお散歩もしたり、
 書物も集めまくりましたし。

「ほほゥ~♪ なかなかァ、たのしそうッ♪」
「ぐるぐるるがるがるるる!」(←訳:じっと籠ってた訳じゃないんだ!)

 『倫敦に住み暮らしたる二年は尤も不愉快の二年なり。』
 と、漱石さんは書き記していますけれど、
 はたして本当にそうだったのか……
 《作家・夏目漱石》になるにあたって不可欠のときだったのではないか……
 読み手は想像を巡らさずにはいられませんよね。
 漱石先生マニアさんは、このくだりを、
 いえ、この御本の全編を、
 なんとしても読まなくちゃ!

「せんせいィのォ、たびにはァ、いみがァ、あッたのでスゥ!」
「ぐるるがるがるるーがる!」(←訳:たくさんの意味と意義が!)

 では、本日の〆の言葉は、
 漱石先生のお弟子さんに御登場いただきましょう!
 芥川龍之介さんは、
 書斎での晩年の漱石先生を
 こう描写しています――

 
  『二枚重ねた座布団の上には、殆ど獅子を想わせるような、
   背の低い半白の老人が、或いは手紙の筆を走らせたり、
   或いは唐本の詩集を翻したりしながら、
   端然と独り坐っている』
 
 
コメント
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