テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

なりたや、王さまに?

2011-12-12 23:32:57 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 甲州街道沿いのイチョウさんたちは、

  

 と、このように黄色く染まって、散る寸前、ですよ~。

「こんにちわゥ、テディちゃでス!
 おそらがァ、あおいィッ!」
「ぐるるー!がるがるる!」(←訳:虎ですー!冬の青だね!)

 お出掛けには手袋を忘れずに!
 ついでに帰宅時にも、手袋忘れてないわよね?と確認を。
 でも読書タイムもお忘れなく~!
 本日ご紹介いたしますのは、はいっ、こちら~!

  


 
               ―― ハプスブルク家の人々 ――


 
 著者は菊池良生さん、2009年11月に発行されました。
 巻末の解説によれば、著者の菊池良生(きくち・よしお)さんは、
 ドイツ・オーストリア文化史とオーストリア文学の専門家で、明治大学の教授さん!
 ハプスブルク家に関する多くの著書をお持ちだそうですよ。

「ふァ~、おーすとりあぶんがくゥ!」
「がるるーぐるっるがるるる!」(←訳:ドドドっドイツ文化ですかー!)

 ドイツ・オーストリア圏に君臨した統治者一族――
 それが、ハプスブルク家。
 ハプスブルク家の血を享けた皇帝、女帝、王さまたちは、
 いったい何人に上ることか……。
 大公さんや貴族さんたちまで含めれば、
 冗談ではなく数え切れないほど、ですね。
 
 そのハプスブルク一族のトップに立つのは、
 神聖ローマ帝国(ドイツ帝国)の皇帝さんたち、
 オーストリア皇帝さんたち、
 スペイン王たち、
 時にはハンガリーの王ともなり、
 フランスの王族ともなった一握りの人びと。

 著者・菊池さんは、
 彼ら一握りのトップと、
 トップの地位にあともう少し!まで迫った男たちの人生を
 選り抜いた言葉で描写します。

「おうさまのォ、はなやかなァ、くらしぶりッ!」
「ぐるるがるがるぐる!」(←訳:絢爛たる宮廷生活!)

 王さまライフは飲めや歌えやの気楽な毎日~♪……ではありません。
 王冠あれば、また、王冠を狙う者あり。
 領土あれば、隙をみて奪わんとする者あり。
 戦争やら税金やら宗教やら革命やら、
 心をすり減らさずにはいられないことばかり。

 この御本の中で菊池さんが、
 もっとも多く筆を費やし、
 密かな共感をもって描き出そうと試みているのは、
 マクシミリアン大公の生涯。

 マクシミリアン、といっても分かりにくいかもしれませんが、
 美貌で知られるエリザベート皇妃の義理の弟、
 と説明すれば、手懸かりになるでしょうか?

「うむむッ! だいにんきのォ、おひめさまっ、でスねッ!」
「がるるるがるるぐるる!」(←訳:劇やミュージカルにもなった!)

 皇帝の弟、ってどんな気持ちがするものなのでしょうか。
 兄より数年、
 もしも双子だったりした場合は僅か数分の差で、
 自分の頭上から王冠が逃げてゆく、という気持ちは……。

 帝王教育を受ける兄フランツ・ヨーゼフ一世の傍らで、
 いったい何を待てばいいのか……
 成人する日を?
 それとも、兄が失脚する日を?
 或いは、一族から永遠に解放される日を……?

 皇位継承権を放棄してまで
 マクシミリアンさんが向かったのは、新大陸のメキシコ。
 実権など無きに等しい新皇帝の身に
 ふりかかるドラマは――

「あうゥ~、おうさまにィ、うまれなくてェ、よかッたでス!」
「がるるーぐるがるる!」(←訳:フツーで良かった!)

 ここは日本とちょっと似てるわね、と思ったり、
 いやいや、こんなの日本では考えられないぞ~!と仰天もさせられて、
 好奇心旺盛な歴史好きさん、
 肖像画好きなアートマニアさんにもおすすめしたい一冊です。

「おそろしやッ、おうさまたちィッ!」
「がるぐるがる~!」(←訳:なんたる一族~!)

 底知れぬ“王”たちのものがたり、
 『ベルばら』ファンさんも、一読を!
 
 
コメント
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