テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

言の葉で、帆を高く。

2011-12-26 23:40:45 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 ふぅ~…クリスマスツリーが街から一気に消えてしまうと、
 ちょっと寂しさを感じますね……。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ネーさッ! かんしょうてきにィ、なッてるひまはァ、ないィのでス!」
「ぐるる!ぐるがるがるるるがる!」(←訳:虎です!年末だよ歳末だよう!)

 あたふたと忙しい歳の瀬になっちゃいましたが、
 ふっふっふっ、
 そんな時こそ悠然と、のんびり読書タイムを敢行いたしましょう♪
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― 舟を編む ――


 
 著者は三浦しをんさん、2011年9月に発行されました。
 筋金入りの活字マニアの皆さまは、とうに御存知でしょうね、
 大人気作家・三浦さんのこの御本は、
 私たちにとって馴染み深~い『アイツ』が主人公です!

「あいつゥ??」
「がるぐるっ?」(←訳:誰のことぉ?)

 『アイツ』は、
 通常やたらと分厚くて、重たくて、
 間違って足の爪の上にでも落としたら大惨事が発生します。
 置き場所にも困るし、
 お値段は決して安くないし、
 でも気に入ると手離せなくなる……
 
 そんな、憎いアンチクショウの名は……

 辞書。

「ふァ~、じしょッ!」
「ぐる~がるるる~!」(←訳:あれは重いよね~!)

 そう、《主演》を《辞書》とするならば、
 《主演》者を引き立てるため、
 奮闘するのが《助演》者さんたち。
 どっしり構える主役の横で、
 振り回されるのが脇役さんたちの宿命です。

 大手総合出版社・玄海(げんかい)書房の、
 荒木公平(あらき・こうへい)さんも、
 そんな宿命を背負った人間のひとり。
 荒木さんは出版社員としての人生を、いえ、ものごころついてからの日々すべてを、
 辞書に埋もれて過ごしてきました。

 玄海書房の辞書編集部に所属する荒木さんは、
 しかし、いま焦燥に駆られています。

   定年が、間近い。
   私の後任となる辞書編集者を探さなくては……!

「それはァ、ぴんちィッ!」
「ぐるがる!」(←訳:難問だね!)

 ええ、難問です。
 辞書の編集作業は、単行本や雑誌とは異なる、
 とても特殊な世界なのです。
 
 玄海書房の新辞書、
 『大渡海(だいとかい)』の編纂を託するに価する辞書編集者のタマゴを求め、
 社内を彷徨った荒木さんは、
 これだ!と思われる人物を発見しましたが……

   はあ?
   編集部員ではない?
   営業部の人員?
   マジメくん?

「またしてもォ、ぴんちィ!」
「がるる!」(←訳:不安だ!)

 当初は不安を覚えた荒木さんでしたが、
 マジメこと馬締光也(まじめ・みつや)くんに
 『大渡海』を任せることを決心します。
 彼なら、きっと!
 やってくれる!と。

 でも、
 馬締くんが踏み込んだその世界は、荒れる海のよう――
 言語の奔流をも乗り切れる『舟』、
 『言葉の海を渡る舟』を
 玄海書房辞書編集部の人びとは、
 はたして編み上げ得るのか否か……

「おおきなァ、ふねがァ、いいなッ♪」
「ぐるぐるがる!」(←訳:頼れる舟がね!)

 書物を愛し、
 言葉を愛する活字マニアさんならば、
 こんな御本を待っていたのよ!と喝采したくなる快作です!
 個人的には、
 辞書のための『究極の紙作り』のくだりに
 爆笑いたしました♪
 こんなステキな『紙の舟』なら、言葉の大海も余裕で渡れそうです!

「おーるもォ、つくろうッ!」
「がるぐるぐるるる~!」(←訳:舵も忘れずに~!)

 『舟』の完成を信じて、
 さあ、ぜひ乗船切符を!
 
 
 
コメント
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