テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 黒のち、晴れ晴れ色彩 ~

2011-12-08 23:23:09 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今日の東京・多摩地方は冷えこんでいて、
 昼間でも、ふぅっと息を吐くと白くなるほどです。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふゥぱーッ! ごじらのォ、まねッ!」
「がるる!がるーぐるがるるるー!」(←訳:虎です!ふぱー!ラドンの真似!)

 では私はキングギドラの……って、違いますー!
 なつかしの怪獣映画の真似ではなくて、読書タイムですよ!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  


 
              ―― もっと知りたい ルドン ――


 
 著者は山本敦子さん、監修は高橋明也さん、2011年10月に発行されました。
 『生涯と作品』と副題が付されています。 

 今日12月8日と同じように寒かった一週間前、
 12月1日の記事では、
 現在東京・新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の『セガンティーニ展』について
 お報せいたしました。
 セガンティーニさんの、暗から明へ変換してゆく色調に、
 パステル画家のルドンさんを連想した、と書きましたが、
 本日ご紹介いたしますこの御本は、
 そのルドンさんの生涯と画業を辿る一冊です。

「るどんさんッ!
 しッてるでスよゥ~! めだまッ、なのでス!」
「がるるぐるるるぐるがる~!」(←訳:目玉のおとうさんだよね~!)

 ルドンさんの作品で、とても有名なのが
 石版画のシリーズに現われる眼球たち。
 1882年~1883年にかけて制作された作品の画面中央には、
 ぽかりと白黒の眼球が浮いているものが
 何点かあります。
 日本人でしたら、思ってしまいますよね。
 あ、鬼太郎くんのおとうさんみたい!と。

 実際には、もちろんルドンさんは鬼太郎くんの物語を知るはずもなく、
 この画はポーに影響を受けたものだ、
 いやボードレールの詩に想を得たものなのだ、と
 専門家さんたちは議論しています。

「こわいィさくひんッ、いッぱいィ、でスよッ!」
「ぐるるぐるがるぐるがるー!」(←訳:E・A・ポーの世界の画だもんね!)

 黒また黒、徹底して黒、のルドンさん表現方法に
 少しずつ色彩が忍び込んでくるのは、
 1890年代になってから、の出来事です。
 
 それは、或る日突然に、ではなく、
 ゆっくりとした変容、でした。
 油彩、パステル、テンペラ――
 20世紀が到来する頃には、
 ルドンさんは、色彩の画家、と認識されるようになります。

 でも、20世紀初め、フランス、色彩、と御題が揃えば、
 アート好きさんはすぐに気付くのではないでしょうか。

 それって印象派とカブってるわ!とね。

「ふむふむゥ、そういわればァ~」
「ぐるがる!」(←訳:ホントだ!)

 この御本に掲載されている比較年表を目にして驚いたのですが、
 クロード・モネさんは1840年11月生まれ、1926年没。
 オディロン・ルドンさんは、1840年4月生まれ、1916年没。
 ふたりは、同じ年に生まれ、同じ時代を生きた芸術家さん、なのでした。
 
 生き方も表現のスタイルも異なる二人の画家さんたちは
 どこかですれ違ったりもしたのでしょうか。
 互いの作品を見、我が身と比べ、思うところはあったのでしょうか。

 ジョバンニ・セハンティーニさんは、1858年生まれ、1899年没。
 やはり、活動の時期が重なっていますね。
 アルプスの山の上に、
 ルドンさんの、モネさんの評判は届いていたでしょうか――

「ものすごいィ、じだいッ、でスねッ!」
「ぐるがるぐる!」(←訳:激動の時代だ!)

 セガンティーニさんの展覧会へお出掛けした方々は、
 ルドンさんの生い立ち、当時の評価や、暮らし方、
 作品を収蔵する美術館の紹介など、
 詳細な情報と、
 傑作の数々を網羅したこの御本を、ぜひ!
 
 パリでは今春、
 半世紀ぶりに大規模なルドンさんの展覧会が開催されたそうですから、
 どうか、いずれは日本へも来てくれますように!

「みたいぞォ、ほんものッ!」
「ぐるるがるぐるがるがるるー!」(←訳:みんなで一緒に観にゆこうー!)
 
 
コメント
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