テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

映画と、旅と。

2017-05-01 22:11:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えいがかんッ、だいィせいきょうゥ~!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!連休だもんね!)

 こんにちは、ネーさです。
 映画興行の関係者さんが名付けたという、ゴールデンウィーク。
 本日の読書タイムは、黄金週間に敬意を表し、
 ↓こちらのご本を、どうぞ~♪
 
  



       ―― スクリーンのなかへの旅 ――



 著者は立野正裕(たての・まさひろ)さん、2017年1月に発行されました。
 『A VOYAGE TO THE SCREEN』と英語題名が付されています。
 書店さんでは、おそらく映画評論本のコーナーに
 配架されているかと思われますが、
 著者・立野さん御自身が巻末の『あとがき』で
 エッセイ、と述べておられます。

「ふむふむゥ? えいがのォ、えッせいィ??」
「ぐるがるるる!」(←訳:48作品分の!)

 明治大学文学部教授さんでもある立野さんが綴るのは、
 いわゆる映画“評論”ではありません。
 ならば映画の“紹介”なのかというと、
 それもちょっと違う、のです。

 御本の題名にありますように、
 スクリーンのなかへ、
 映像と物語の奥へと旅をする――

 想いに浸りつつ、自分の足で。
 
「じぶんのォ、あしィ?」
「がるるぅる~!」(←訳:疲れちゃう~!)

 いえいえ、現代でこそ、
 旅といえば飛行機や高速鉄道となっちゃってますが、
 ほんの50年60年昔はそうでもなかったのでした。

 御本のいちばん初めに収録されているのは
 フレッド・ジンネマンさん監督作品
 『日曜日には鼠を殺せ』(1964年)についての文章です。

 内戦時代のスペインを背景とする作品ですから、
 時刻表通りに発車する列車なんて、有り得ませんね。

 罠が待ち受ける故国へと、
 危険を承知で旅立とうとする主人公。

 彼のこころに寄り添うように、
 立野さんの映画をめぐる旅も始まります。

「しんさくもォ、ありィ~」
「ぐるるがる~」(←訳:旧作もあり~)

 クリント・イーストウッドさん監督の近作や、
 モノクロのサイレント・ムーヴィー
 『アッシャー家の末裔』(1926)など、
 制作年代にはこだわらず。
 西部劇、戦争映画、文芸もの、と
 ジャンルも特定せず。

 自分のこころに残ったもの、
 こころに引っ掛かったもの、を
 連想ゲームのように並べてゆく旅。

「でもォなぜかァ~?」
「がるるるるるぐる?」(←訳:重苦しくないねえ?)

 巡礼にも似た立野さんの《こころの旅》は、
 何故か不思議と、重苦しくはありません。
 
 その答えは、本文14ページの一行に見つけられます。

  《十歳でこの映画を見た私は、
   やはり果報者だった》

 と、『翼よ、あれが巴里の灯だ』(1957)について
 立野さんは記しています。

 そこにあるのは、
 映画に出会えた幸せ、
 映画で笑い、泣き、学び、涙したしあわせ。

「ううむゥ! いいでスねェ~♪」
「ぐるがるぐるるるっるぅる!」(←訳:その映画見たくなっちゃう!)

 すばらしい映画がそこにあった、
 記憶すべき作品がそこにあった。

 本文の最後の一行まで、
 さらには『あとがき/ピレネーへの旅』にまで、
 立野さんの情愛が織り込まれ、
 私たち読み手に伝わってきます。

 この映画に出会えてよかった、と――

「わすれじのォ~…」
「がるるぐる……」(←訳:遥かな旅路……)

 このゴールデンウィークは映画館のハシゴ!という御方も、
 お家でDVD三昧という方々も、
 エッセイ好きな活字マニアさんにも
 おすすめの一冊です。
 本屋さんで図書館で、ぜひ、探してみてくださいね~♪
 
 
 
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする