テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《裏》の主役を、炙り出せ ~

2017-05-07 22:08:43 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ふゥ~…おわッちゃうゥ~のでスゥ~…」
「がるる!ぐるるがる~…」(←訳:虎です!さらば連休~…)

 こんにちは、ネーさです。
 終わってしまうのは悲しゅうございますが、
 なかなか悪くないGWでしたわ♪
 ムットーニさんの展覧会に行けたし、
 街でポニーちゃんに出逢ったし、
 ユヴェントスはCL準決勝で先勝できたし♪と
 楽しい思い出に浸りながら、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~!

  



       ―― 病気を描くシェイクスピア ――



 著者は堀田饒(ほった・にぎし)さん、2016年10月に発行されました。
 名古屋大学名誉教授である医学者の著者・堀田さんがチャレンジするのは、
 《病》という観点から
 劇聖シェイクスピアさんの作品分析する、という新機軸!
 これがね、めっぽう面白いんですよ~!

「びょうきィがッ??」
「ぐるるる?」(←訳:面白いの?)

 病気……というと、
 なんだか空気が暗くなりそうですけれど、
 読み始めてみると、そうでもありません。

 むしろ、章ごとに、
 そうだったのか!
 こういう意味が隠されていたのね!等々、
 発見の喜びが湧きあがってきます。

 シェイクスピアさんの戯曲や詩の、
 名場面や名台詞に、
 なにげなく、さりげなく使われている言葉に、
 これほど《時代》と《背景》が
 織り込まれていたとは!

「そんなにィ~??」
「がるるぐるる?」(←訳:驚きのタネが?)

 では、《驚き》の一例を挙げてみましょう。

 本文133ページに収録されているのは
 『古から死に神と恐れられた黒死病』――

 黒死病とは、つまりペスト。

 14世紀頃、アジアからヨーロッパに持ち込まれたという
 この恐ろしい疫病は、
 数ヶ月のうちにヨーロッパの全人口の三分の二が罹患、
 流行期は八年間にわたり、
 感染者の半分以上が亡くなったと推定されています。

 シェイクスピアさんのグローブ座が本拠としたロンドンも
 ペスト禍を逃れられず、
 ロンドンの劇場は閉鎖され、
 一座は地方巡業に出ねばなりませんでした。

「しぇいくすぴあァさんはッ?」
「ぐるがっるる?」(←訳:無事だったの?)

 シェイクスピアさんがペストに罹ったという
 記録はありません。

 しかし、ペストの災厄を目の当たりにした劇聖さんは
 ペストゆえの悲劇を書き上げます。

 その作品は、
 『ロミオとジュリエット』。

 ペストの流行を阻止しようと
 検疫官が交通を遮断したために、
 ロレンス修道士が送った
 ロミオ宛の手紙は届くのが遅れてしまった――

 ペストの流行が、もしも、無かったとしたら。
 そうしたら、ロミオは。

「むむゥ! それじゃァ、すべてはァ~」
「がるるぐる!?!」(←訳:疫病のせい!?!)

 E・A・ポーさんの『赤死病の仮面』では
 《病》は“表”の主役でした。
 対して『ロミオとジュリエット』では、
 『病』は“裏”の主役。

 幕の陰から、物語を支配してゆく――

「うむゥ! おそろしィけどォ!」
「ぐるるがる!」(←訳:尽きぬ興味!)

 著者・堀田さんは
 シェイクスピアさんの肖像や
 作品を図案化した切手も紹介してくださっていて、
 こちらは演劇好きさん垂涎の図版といえましょう♪

「こちらもォ、やぱりィ!」
「がるる~!」(←訳:面白い~!)

 エリザベス朝の、演劇から覗く《病》の歴史、
 《病》が変えたヒトの在り様。

 演劇マニアさん&戯曲好きさんに、
 全活字マニアさんにおすすめの快作です。
 皆さまぜひ、一読を♪ 
 
 
コメント
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