テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

奇跡に「NO」と。

2017-05-09 21:59:15 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 むむむゥ! とくだいィげんきだまァ~!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!トリノへ届け!)
「えェいィやァ~ッ!!」

 こんにちは、ネーさです。
 さあ、またも来ました、決戦の日が!!
 チャンピオンズリーグ準決勝2ndレグ、
 我らがユヴェントスは、ここを勝利もしくは引分ければ
 決勝の大舞台へ進めます……
 必勝と吉報を全力で祈りつつの本日の読書タイムは、
 こちらの伝記作品を、どうぞ~♪

  



      ―― 僕は奇跡なんかじゃなかった ――



 著者はカール・レーブルさん、原著は2014年に、
 日本語版は2017年4月に発行されました。
 独語原題は『Ich war kein Wunder!』、
 『ヘルベルト・フォン・カラヤンその伝説と実像』と
 日本語副題が付されています。

「ふァいッ! テディちゃ、しッてまスゥ!
 ゆうめいィなァ、しきしゃさんッ!」
「ぐるるるるる!」(←訳:音楽史上の星!)

 そうね、20世紀に活躍した指揮者さんで
 最も有名な人物は?と問われたら、
 大勢の方が、カラヤンさんの名を挙げることでしょう。

 1908年、ザルツブルクに生まれ、1989年没……

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、
 ウィーン国立歌劇場などの指揮者・芸術監督を務め、
 《帝王》と呼ばれた音楽家さん。

 御本の題名にある《奇跡》という言葉は、
 1938年、ベルリンの新聞に
 『奇跡のカラヤン』と題された批評が載り、
 以降、『奇跡の…』が枕詞のように
 カラヤンさんについてまわったことに由来しています。

「きせきィ、でスかァ~…」
「がるるるぅ~…」(←訳:重たいなぁ~…)

 『僕は奇跡なんかじゃなかった』――

 カラヤンさん御本人はこの表現にいつも反論していた、と
 著者・レーブルさんは御本の序文で記しています。

  奇跡に頼らず、
  奇跡を待たず、
  僕は僕の手で、素晴らしい音楽を創り上げてみせたのだから。

 そんな自負が、カラヤンさんの心にあったのでしょうか。

「じぶんのォちからをォ、しんじてェ?」
「ぐるるがるる!」(←訳:努力も信じて!)

 1962年、カラヤンさんとの2回目の会談を行ったことを機に、
 レーブルさんはカラヤンさんと親しくなりました。

  『あなたなら私の立場を粉飾せずに
   公にしてくれる』

 そうして信頼を得たレーブルさんが目にしたカラヤンさんの、
 《帝王》の生涯とは、どんなものだったのか。

「いろんなァ、でんせつゥ!」
「がる!」(←訳:噂話!)
「でもォ、ほんとうのォところはァ??」

 個人的には私ネーさ、
 歌手さんや演奏家さんとカラヤンさんの信頼関係を描いた章、
 演出家としてのカラヤンさんに言及した章を
 何度も読み返しました。

 カラヤンさんの真情が、
 オペラ歌手さんを評する言葉の節々に
 あたたかく流れている……かのようで。

「ひとがらァ、みえてくるかもッ?」
「ぐるがる!」(←訳:笑顔もね!)

 20世紀と、現代と。

 音楽の聴き方、音楽への接し方が
 あまりにも大きく変化しつつあるこの時代に敢えて、
 音楽の在り様を見較べれば、
 浮かび上がってくる模様とは。

 著者・レーブルさんの丁寧な筆が縁どる記録を、
 音楽好きな活字マニアさん、
 ぜひ、一読してみてくださいな♪

 
 
 
コメント
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