「こんにちわッ、テディちゃでス!
あじさいィでらはァ、おおにぎわいィ?」
「がるる!ぐるるるるがるぐる~!」(←訳:虎です!お出かけの際は注意~!)
こんにちは、ネーさです。
鎌倉の、“あじさい寺”とされるお寺さまの周辺は
交通規制が実施されるほどの混雑だそうですよ。
いいなぁ♪混んでてもいい行ってみたいなぁ♪などと想い馳せつつ、
さあ、今日も読書タイムです。
本日は、こちらの御本の“別世界”へ、ひとっ跳び~♪
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―― 山月記・名人伝 ――
著者亜中島敦(なかじま・あつし)さん、2016年12月に発行されました。
《教科書で読む名作》とシリーズ題名が付されています。
先日は、同じ《教科書で読む名作》シリーズの一作
芥川龍之介さんの『羅生門・蜜柑』を御紹介しましたが、
こちらは中島敦さん(1909~1942)の名作・代表作を集めた一冊ですよ。
「ふァいッ! とらでス!」
「ぐるがるー!」(←訳:虎の物語ー!)
ええ、そうですね、
表題作品『山月記』の素晴らしさは、
これも先頃
『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 獣』を御紹介しました折に
あらためて確認しました。
この御本では、『山月記』の原典ともいうべき
中国の説話『人虎伝』も収録されていて、
それも読みどころのひとつ、と申せますものの。
今日は、もうひとつの表題作品の方に
ぐぐっと注目してみましょう♪
「というぅとォ?」
「がるる?」(←訳:名人伝?)
『名人伝』が発表されたのは、
1942年――昭和17年でした。
中島さんが世を去る年のことでしたが、
文庫にして僅か13ページのこの作品には
長編にも匹敵する、
ひとりの《名人》の歩みが微笑ましくも力強く、
それでいて奇妙なくらいスッキリと描かれています。
「めいじんにィ、なるためェにィ!」
「ぐるがる!」(←訳:全力傾注!)
突き詰めれば、
それは第一行目ですべてが記されています。
趙(ちょう)の邯鄲(かんたん)に住まう
紀昌(きしょう)さんの志は、ただひとつ。
《天下第一の弓の名人になろう》
「うゥ~むゥ! てんかァだいいちィ~…!」
「がるるるる!」(←訳:難しいねえ!)
紀昌さんの目標が、
国が主催する武芸大会で優勝してやろう!
メダリストになろう!
であったなら、それはまだ簡単な道のりだったでしょうに。
誰かを追い越す、という一点に絞ってもよかったのに。
彼の目指す《名人》への道は、
その純粋さが仇になってか、
真っ直ぐな道ではないのでした。
先の見えない、
曲がりくねった細い道。
道を行けば行くほどに、
紀昌さんはヒトの世から離れてゆくようです。
やがて彼が登りつめた鋭峰で
目にしたのは、いったいどのような景色であったのか――
「みたいィようなッ?」
「ぐるるがるるるる?」(←訳:みたくないような?)
『名人伝』を『山月記』を、
また『悟浄歎異』を読みながら
私ネーさの脳裏に聴こえてきたのは
RADWIMPSさんの『棒人間』でした。
♪僕は人間じゃないんです♪というあのフレーズが
月に吠える虎の影に、
弓を構える青年の背後に、
砂漠をゆく悟浄さんの足取りに重なります。
ヒトと、
ヒトでない何か。
彼らに寄り添う歌と言霊。
読み逃がせない解説&注釈ももちろん、
中島さんのファンの方々に激おすすめの一冊、
手に取ってみてくださいね♪
「おとなもォ、こどももォ~」
「がる~!」(←訳:ぜひ~!)
あじさいィでらはァ、おおにぎわいィ?」
「がるる!ぐるるるるがるぐる~!」(←訳:虎です!お出かけの際は注意~!)
こんにちは、ネーさです。
鎌倉の、“あじさい寺”とされるお寺さまの周辺は
交通規制が実施されるほどの混雑だそうですよ。
いいなぁ♪混んでてもいい行ってみたいなぁ♪などと想い馳せつつ、
さあ、今日も読書タイムです。
本日は、こちらの御本の“別世界”へ、ひとっ跳び~♪

―― 山月記・名人伝 ――
著者亜中島敦(なかじま・あつし)さん、2016年12月に発行されました。
《教科書で読む名作》とシリーズ題名が付されています。
先日は、同じ《教科書で読む名作》シリーズの一作
芥川龍之介さんの『羅生門・蜜柑』を御紹介しましたが、
こちらは中島敦さん(1909~1942)の名作・代表作を集めた一冊ですよ。
「ふァいッ! とらでス!」
「ぐるがるー!」(←訳:虎の物語ー!)
ええ、そうですね、
表題作品『山月記』の素晴らしさは、
これも先頃
『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 獣』を御紹介しました折に
あらためて確認しました。
この御本では、『山月記』の原典ともいうべき
中国の説話『人虎伝』も収録されていて、
それも読みどころのひとつ、と申せますものの。
今日は、もうひとつの表題作品の方に
ぐぐっと注目してみましょう♪
「というぅとォ?」
「がるる?」(←訳:名人伝?)
『名人伝』が発表されたのは、
1942年――昭和17年でした。
中島さんが世を去る年のことでしたが、
文庫にして僅か13ページのこの作品には
長編にも匹敵する、
ひとりの《名人》の歩みが微笑ましくも力強く、
それでいて奇妙なくらいスッキリと描かれています。
「めいじんにィ、なるためェにィ!」
「ぐるがる!」(←訳:全力傾注!)
突き詰めれば、
それは第一行目ですべてが記されています。
趙(ちょう)の邯鄲(かんたん)に住まう
紀昌(きしょう)さんの志は、ただひとつ。
《天下第一の弓の名人になろう》
「うゥ~むゥ! てんかァだいいちィ~…!」
「がるるるる!」(←訳:難しいねえ!)
紀昌さんの目標が、
国が主催する武芸大会で優勝してやろう!
メダリストになろう!
であったなら、それはまだ簡単な道のりだったでしょうに。
誰かを追い越す、という一点に絞ってもよかったのに。
彼の目指す《名人》への道は、
その純粋さが仇になってか、
真っ直ぐな道ではないのでした。
先の見えない、
曲がりくねった細い道。
道を行けば行くほどに、
紀昌さんはヒトの世から離れてゆくようです。
やがて彼が登りつめた鋭峰で
目にしたのは、いったいどのような景色であったのか――
「みたいィようなッ?」
「ぐるるがるるるる?」(←訳:みたくないような?)
『名人伝』を『山月記』を、
また『悟浄歎異』を読みながら
私ネーさの脳裏に聴こえてきたのは
RADWIMPSさんの『棒人間』でした。
♪僕は人間じゃないんです♪というあのフレーズが
月に吠える虎の影に、
弓を構える青年の背後に、
砂漠をゆく悟浄さんの足取りに重なります。
ヒトと、
ヒトでない何か。
彼らに寄り添う歌と言霊。
読み逃がせない解説&注釈ももちろん、
中島さんのファンの方々に激おすすめの一冊、
手に取ってみてくださいね♪
「おとなもォ、こどももォ~」
「がる~!」(←訳:ぜひ~!)