テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 記憶の光 ~

2017-06-18 21:51:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あややッ? このォこえェはッ??」
「がるる!ぐるるるがるる?」(←訳:虎です!ツバメの子の声?)

 こんにちは、ネーさです。
 今朝から我が家周辺でツバメの親子の声が?
 え? もう巣作りの季節は過ぎたわよね?
 エサ探し? 遊びに来たの? 迷子?
 なんかよく分からないけど逞しく育つんだぞー!と屋根を見上げながら、
 さあ、ここからは(ちょっと心配しつつ)読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



          ―― 母の記憶に ――



 著者はケン・リュウさん、2017年4月に発行されました。
 日本オリジナルの短編集第二作となるこの作品には
 『MEMORIES OF MY MOTHER AND OTHER STORIES』と
 英語題名が付されています。

「いまァ、ぐんぐんッ!」
「ぐるがるる~!」(←訳:人気上昇中~!)

 ええ、そうなんですよね。
 日本オリジナルのケン・リュウさんの作品集第一作
 『紙の動物園』が刊行されたのは2015年のことでしたが、
 同年度のベストSFランキングでも上位に食い込み、
 もちろん売れ行きも好調で、
 新刊への期待は高まるばかり!

「そしてェ、ようやくゥ~…!」
「がるるる!」(←訳:来ました!)

 この御本には、訳者・古沢嘉通さんが選んだ14篇と、
 著者ケン・リュウさんから2篇を推薦される等の経緯もあり、
 最終的には計16篇の短編作品から構成されることとなりました。

 御本の冒頭の
 『烏蘇里羆(ウスリーひぐま)』、
 中ほどに収録されている『ループのなかで』他、
 いずれも読み手に嘆息させる素晴らしい作品、
 なのですけれども……

 ここは敢えて、
 表題作品『母の記憶に』を激おすすめいたします!

「ほんぶんッ、きゅうじゅうななァぺーじィでス!」
「ぐーるがるる……」(←訳:えーと原題は……)

 『母の記憶に』――
 『Memories of My Mother』(2012年)。

 短い。短いです。
 2段組みで印刷するポケミスの、
 5ページ分にも満たぬ短編作品です。
 
 が、この短い作品の中に、
 想像を絶する“長さ”が叩き入れられています。

「とくべつなァ、みじかさッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:凝縮された時間!)

 そこは、おそらく現在の私たちから見れば
 《未来の世界》なのでしょう。

 ただ、《未来》ではあっても
 《完全な世界》ではありません。
 人々は、病気にかかる。
 《未来》にしてなお、治らぬ病気もある――

 少女エミーさんの母親も、
 治らぬ病に身を蝕まれています。
 医師から宣告された余命は、たったの二年。

 二年で、何が出来るのか。
 可愛い我が子のいまを、将来を、
 知らぬまま、見ぬままに
 病に屈してしまうのか。
 それでいいのか?

「だからッ、おかあさんはァ~」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:一計を案じました!)

 母親が立てた計画、
 実行にうつしたその計画は、
 娘のエミーさんの眼にはどう映り、
 日々にゆらぎをもたらすのか。

 母と娘の、“二年間”は
 喜びなのか、哀しみなのか――

「なんどもォなんどもォ!」
「がるるるるぅる!」(←訳:読み返しちゃう!)

 この作品は、この作品だけは、
 SFぅ?好きじゃないもん!という活字マニアさんも、
 読みこぼしてはなりません。
 本年度ベストに推したい傑作なんですから、
 皆さま、ぜひ~!
 
 
 
コメント
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