新年のカウントダウンは、まだか。
なぜ、時計も鐘も沈黙したままなのか。
ロンドン市民の心の叫びを
ひしひしと感じる名探偵テディちゃムズ一行は、
さあ、新春特別企画を賭けた勝負に出ますよ♪
「がるる!ぐるるるるー!」(←訳:悪漢め!果し合いだー!)
犯罪界のナポレオンクマ、クマリアティ教授の右腕であり、
猛獣狩りの名人でもあるというモラワン大佐へ、
えいやっと飛びかかったのは、
おお、虎くんです。
「ぐるるっがるぐるるがるー!」(←訳:喰らえっトラ一族の恨みー!)
と、その時。

時計塔の上層がぐらりと揺れ、
モラワン大佐はスッ転びました。
いえ、時計塔が揺れたのじゃありませんね、
鐘です、
ビッグ・ベンの大鐘が、ぐらり、ぐらりん。
それも道理です、
鐘にはロープが二重三重に巻きつけられていて、
ロープの端を握っているのはモラワン大佐。
大佐が不用意に体勢を変えたせいで、
ロープが波を打ち、ぐらりん、と鐘が動き……?
「わぁッ! きけんだッ、にげようゥ!」

名探偵テディちゃムズの一声に、
盟友ユキノジョン・H・ワトソン博士も、
虎くんも、干支の戌(いぬ)くんも、
鐘の管理室を大急ぎで後にいたします。
は? 冗談だろう?臆したのか?
逃げてないで闘えよ、ですって?
いえいえ、冗談事ではないのです。
ビッグ・ベン級の巨鐘の音を
あまりにも近くで聴いてしまうと、
耳がキーンとするどころではすみません。
失神しちゃうんですよ、マジで。
「みんなァ、みみをォふさぐんだァ~!」
時計塔の階段を駆け下りた一行と、
国会議事堂の警備員さんたちは
塔上部の異様な振動音が止むのを待って、
再び鐘の管理室へ。
「がるる!」(←訳:いたぞ!)
「絡まってる!」
「じぶんのロープに!」
鐘に巻きつけられていたロープは、
どうしたことか、
モラワン大佐の胴体をぐるぐる雁字搦めにしています。
「くそぉぉ!
この鐘、1億ユーロで売り払うつもりだったのに!
高品質な金属の需要は世界中で高まってるのにぃ!」

時間泥棒、あらため。
鐘泥棒のモラワン大佐。
速やかにスコットランドヤードへと
引っ立てられてゆきますれば。
「あっ! 時鐘だ!」
ロンドン中の教会の鐘が、鳴り、歌います。
新年の到来を。
2018年の始まりを。
「やあッ! あけましてェおめでとうゥ!」
「おめでとう~!」
カウントダウンの歓声と、
電飾と花火の光りが、
時間が正常に復したことを
テディちゃムズたちに教えます。
これで、心置きなく――
「パーティーだぁ!」
屋台のホットワインを買い、
ホカホカ気分で、ベーカー街へ。
愉しき我が家へ。
2018年が、どうか皆々さまにとって
良い一年になりますように、と願いながら、
家路を辿るのでした。
……その頃、マイクマフトお兄ちゃんは。

「くっそぉ!
なんでワシだけ苦情電話の受付係なのっ?
パーチーに行きたいようぅぅ!」
~ その5!(えっ?あるの?)に続く ~
なぜ、時計も鐘も沈黙したままなのか。
ロンドン市民の心の叫びを
ひしひしと感じる名探偵テディちゃムズ一行は、
さあ、新春特別企画を賭けた勝負に出ますよ♪
「がるる!ぐるるるるー!」(←訳:悪漢め!果し合いだー!)
犯罪界のナポレオンクマ、クマリアティ教授の右腕であり、
猛獣狩りの名人でもあるというモラワン大佐へ、
えいやっと飛びかかったのは、
おお、虎くんです。
「ぐるるっがるぐるるがるー!」(←訳:喰らえっトラ一族の恨みー!)
と、その時。

時計塔の上層がぐらりと揺れ、
モラワン大佐はスッ転びました。
いえ、時計塔が揺れたのじゃありませんね、
鐘です、
ビッグ・ベンの大鐘が、ぐらり、ぐらりん。
それも道理です、
鐘にはロープが二重三重に巻きつけられていて、
ロープの端を握っているのはモラワン大佐。
大佐が不用意に体勢を変えたせいで、
ロープが波を打ち、ぐらりん、と鐘が動き……?
「わぁッ! きけんだッ、にげようゥ!」

名探偵テディちゃムズの一声に、
盟友ユキノジョン・H・ワトソン博士も、
虎くんも、干支の戌(いぬ)くんも、
鐘の管理室を大急ぎで後にいたします。
は? 冗談だろう?臆したのか?
逃げてないで闘えよ、ですって?
いえいえ、冗談事ではないのです。
ビッグ・ベン級の巨鐘の音を
あまりにも近くで聴いてしまうと、
耳がキーンとするどころではすみません。
失神しちゃうんですよ、マジで。
「みんなァ、みみをォふさぐんだァ~!」
時計塔の階段を駆け下りた一行と、
国会議事堂の警備員さんたちは
塔上部の異様な振動音が止むのを待って、
再び鐘の管理室へ。
「がるる!」(←訳:いたぞ!)
「絡まってる!」
「じぶんのロープに!」
鐘に巻きつけられていたロープは、
どうしたことか、
モラワン大佐の胴体をぐるぐる雁字搦めにしています。
「くそぉぉ!
この鐘、1億ユーロで売り払うつもりだったのに!
高品質な金属の需要は世界中で高まってるのにぃ!」

時間泥棒、あらため。
鐘泥棒のモラワン大佐。
速やかにスコットランドヤードへと
引っ立てられてゆきますれば。
「あっ! 時鐘だ!」
ロンドン中の教会の鐘が、鳴り、歌います。
新年の到来を。
2018年の始まりを。
「やあッ! あけましてェおめでとうゥ!」
「おめでとう~!」
カウントダウンの歓声と、
電飾と花火の光りが、
時間が正常に復したことを
テディちゃムズたちに教えます。
これで、心置きなく――
「パーティーだぁ!」
屋台のホットワインを買い、
ホカホカ気分で、ベーカー街へ。
愉しき我が家へ。
2018年が、どうか皆々さまにとって
良い一年になりますように、と願いながら、
家路を辿るのでした。
……その頃、マイクマフトお兄ちゃんは。

「くっそぉ!
なんでワシだけ苦情電話の受付係なのっ?
パーチーに行きたいようぅぅ!」
~ その5!(えっ?あるの?)に続く ~