テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

つらぬく《ローマ目線》!

2018-01-07 22:06:22 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 あすはァ、せいじんしきィ~でスねッ!」
「がるる!ぐるるるるがるるぐる!」(←訳:虎です!おめでとう新成人さん)

 こんにちは、ネーさです。
 ちょっとお天気が心配なんですけど、
 明日の成人式に敬意を表して、
 本日の読書タイムは、
 これぞ大人!な一冊を御紹介いたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



          ―― 逆襲される文明 ――



 著者は塩野七生(しおの・ななみ)さん、2017年9月に発行されました。
 『日本人へ Ⅳ』とシリーズ題が記されているこの御本、
 2017年後半のベストセラーになり、
 現在も売れ行き好調だそうです。

「えッとォ、てーまはァ~…」
「ぐるるがる!」(←訳:歴史と政治!)
「そのほかァ、なんでもォありィ!」

 前回記事の展覧会情報では
 『ボストン美術館 パリジェンヌ展』をお報せしました。
 オシャレなフランスに比して、
 著者・塩野さんが活動のベースとしておられるのは、
 イタリアのローマ。

 ローマ――
 その歴史の長さたるや、
 おフランスなぞ問題にもなりません。

 ローマが世界的な国家の首都として繁栄を極めた頃、
 パリはド田舎の小さな村、っていうレベル。
 ロンドンは泥だらけの湿地で、
 アメリカなんて存在すらしていなかった……。

 そんな筋金入りの歴史都市に暮らす塩野さんの眼に、
 世界は、日本は、
 どう映っているのでしょう。

「たぶんッ、きッとォ~」
「がるぐるる!」(←訳:問題だらけ!)

 問題っていうのはね、
 あっていいんです、ていうか、
 何ひとつ問題がない国や地域なんて
 実際のところゼロでしょ?

 大事なのは、
 問題に対峙する気構えを持っているか否か、
 ではないか――

 それを如実に詩的しているのが、
 本文の中ほどに収録されている

  『EU政治指導者たちの能力を問う』

 という一編なんですけど、
 もうビックリさせられたり、
 ズシリと納得させられたり、
 短いながらも濃厚な文章でした。

「せいじかさんのォ、のうりょくゥ?」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:ダメ出ししますか!)

 繰り返しますが、
 “ローマ目線”の塩野さんの政治家鑑定は、
 日本にいる私たちの目線とは異なっています。

 塩野さんによれば、
 英国の首相だったキャメロンさんは
 『救いようがない』。

 フランスの前大統領オランドさんは、
 『影響力』が『まったく無し』どころか
 『完全に地に落ちた』。

 ドイツのメルケル首相は、
 『先頭に立って引っ張っていく気概なり肝っ玉なり』がなく、
 『言葉にも、まったく熱がない』。

「ふァ~…」
「がる~…」

 これを読んで、ああ、そういわれれば、と
 頷いてしまうのは私ネーさだけでしょうか。

 特に、メルケル首相評は、
 ドイツの、そしてEU全体の問題を看破しているようで、
 なるほどなぁと感じ入りました。
 EUの未来をきり拓く肝っ玉……そうね、
 気概と肝っ玉を持っている政治家さんて、
 絶滅してしまったんでしょうか……。

「どこかにィ~…?」
「ぐるるるる~…?」(←訳:いるのかな~…?)

 政治や歴史、宗教、文化などなど、
 どちらかというと“重たい”話題が中心ですが、
 読みやすく、分かりやすい語り口で
 塩野さんは“ローマ目線”を貫きます。
 それも、ユーモアを忘れることなく。

 オトナの方々、
 新書初挑戦の未成年さんも新成人さんも、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪
 
 
 
コメント
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