「喫茶・輪」は一年前、廃業宣言をした。
しかし、急に止めると体調を崩す恐れがあるということで、クールダウン期間を設けた。営業時間を昼ごろまでと縮小し、定食の提供を廃止して営業を続けた。
しかし、食事廃止については表向きになってしまって、もう長い常連さんの原さんが「もうちょっと、俺が定年になるまで頼むわ」とおっしゃるので、以来、そのお仲間の分も含めて10人程度の食事を準備している。
その原さん、この11月で定年。さて「輪」もいよいよ定年?と思っていたのだが、昨日、「どうしても残ってくれと社長から頼まれて」と来年一月まで延長になったのだと。ということで「輪」ももう少しクールダウン期間を延ばします。
参考に、これは昨年の閉店ご挨拶です。
お食事の店「輪」閉店のご挨拶
「輪」は昭和62年12月6日に昼定食を中心とした喫茶店としてオープンいたしました。
その日は冷たい風が吹く日でしたが、空はよく晴れておりました。以来24年近く、皆さまに可愛がって頂きました。
初め、この場所に喫茶店をオープンさせることを知った友人が「頭がおかしなったんちゃうか?」と言いました。そうですね、東西200メートルばかりの西行き一方通行のほとんど人通りのないこの辺鄙な場所で喫茶店を始めるなんて正気の沙汰とは思えません。 オープン当初はわずか10席の店でした。しかしすぐに手狭になり、拡張して7席ばかり増やしました。ところがこれでもまた手狭になり、ほどなく二度目の拡張をしました。それが今の店舗です。これはお客さまの支持なくしては叶わぬことでした。
ここで、24年近くも営業させて頂きました。それもみな、「輪」を可愛がって下さった皆様のお陰です。しかし、やはり時が流れました。ここ数年で状況が変わりました。淋しいことではありますが、このほどやむなく店を閉じることに致しました。24年間、思えば短かったですが、やはり長かったようにも感じます。色んな人との出会いがありました。また悲しい別れもありました。正に「輪」はドラマチックな場所でした。10年前には、「輪」を舞台に繰り広げられるドラマを『コーヒーカップの耳』という本にもしました。また、その後、タウン情報誌『神戸っ子』に「コーヒーカップの耳」と題したエッセーを約10年間100回にわたり連載させて頂きました。どれも、「輪」に集うお客さまの人間性がドラマを生んだのでした。これらは「輪」の大きな財産になっております。心から感謝申し上げます。 と、ここまで書いて来て、ちょっと考えました。スコンッと一気にやめてしまうのはあまりにもあっけないのではないかと。わたしどもも、急激にリズムが変われば体調を崩すのではないかと、勝手なことを考えました。ということで、お盆まではこれまで通り営業させて頂くことに致しました。しかしお盆以降は、今しばらくクールダウン期間として、午前中の、お茶のみの営業に移行させて頂きたいと思っております。どうか私どもの心中をお察し下さってご理解頂きますようお願い申し上げます。
平成23年盛夏
お客さま各位<o:p></o:p> 喫茶・輪 店主敬白