詩誌「季」に杉山平一先生のご息女、初美さんがいい文章を書いておられるという情報を得て、初美さんにおねだりしました。
シンプルないい表紙だ。
ページ数90に満たんとする特集号である。
同人それぞれが杉山先生とご自分とのかかわりを書いておられる。
それは仕方のないことであろう。そんな中、先生のお人柄が表れている。
中に、初美さんの寄稿があり、それは別格だ。
「父と暮らせば」というタイトルもいいですねえ。
その文章は、こう始まる。
―父がこの世を去ってしまった。
毎朝聞こえていた父の
天声人語を読む声が耳に残っている。
たどたどしく、
でもしっかりとした声。
最後に
「オワリ!」と告げて
新聞を置く。
それから朝食が始まる。― (行わけはakaru)
これだけで詩になっています。情景がありありと浮かびます。
約4000字の父を思う文章だが、心打たれて涙を催す。娘さんにしか書けない追悼の文だ。
明後日、大阪のホテルで「杉山平一さんを偲ぶ会」がある。参加者は200人に上ると。錚々たる人たちが集われるのだろう。わたしは、隅っこの方で偲ばせて頂くことにする。