喫茶 輪

コーヒーカップの耳

「父と暮らせば」

2012-10-19 20:03:38 | 杉山平一先生
詩誌「季」に杉山平一先生のご息女、初美さんがいい文章を書いておられるという情報を得て、初美さんにおねだりしました。

Img994 シンプルないい表紙だ。


 
ページ数90に満たんとする特集号である。
同人それぞれが杉山先生とご自分とのかかわりを書いておられる。
それは仕方のないことであろう。そんな中、先生のお人柄が表れている。
中に、初美さんの寄稿があり、それは別格だ。
「父と暮らせば」というタイトルもいいですねえ。
その文章は、こう始まる。


―父がこの世を去ってしまった。

 毎朝聞こえていた父の
 

 天声人語を読む声が耳に残っている。

 たどたどしく、

 でもしっかりとした声。

 最後に

 「オワリ!」と告げて

 新聞を置く。

 それから朝食が始まる。―   (行わけはakaru)

これだけで詩になっています。情景がありありと浮かびます。

約4000字の父を思う文章だが、心打たれて涙を催す。娘さんにしか書けない追悼の文だ。

明後日、大阪のホテルで「杉山平一さんを偲ぶ会」がある。参加者は200人に上ると。錚々たる人たちが集われるのだろう。わたしは、隅っこの方で偲ばせて頂くことにする。

コメント
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