扉を開けて入ってきたのは久しぶりのお客さん、Hさん。
わたしは驚いた。
気にはなっていたが、こちらから尋ねるのはためらわれて、どうされているかな?と思っていたのだった。
見た目はお元気そうだった。
治った?!と思ったほどだ。
実は彼、今年の初めにやってきて「俺、
alsになってしもた」とカミングアウトしたのだった。
今の人類では最も過酷で絶望的な病気と言われている。
宣告されると,ガンよりも辛い病気。
最近では篠沢秀夫教授がこの病気で亡くなられている。
今ちょうど、わたしが処分しようと思っていた本『閉じ込められた僕』はその病気の人の体験録。その著者も今年亡くなられた。
Hさんだが、「お母ちゃん(家内)にも会いたい」と言ってくれるのだが、今日、家内はバスツアーで留守。
「カアチャンも気にしていたから、また来て」とお願いした。
もう今年中には車の運転もできなくなりそうだと。
どんどん筋肉が衰えてきていて、右手が水平以上に上がらなくなり困っていると。
見た目の顔は元気そうだが、ズボンもたるんでいて、かなり痩せている。
しかし、いかにもHさんらしい話をしてくれて大笑いをし救われた。
なんとも魅力的な人なのだが、帰って行く後ろ姿がやつれていてやはり辛いものがある。
『閉じ込められた僕』を「奥さんに読んでもらって」と持って帰ってもらった。