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『学力を育てる』を読む。

2017-11-24 18:13:00 | 西宮のこと
カテゴリーを「西宮のこと」にしたが、本のことでもある。

志水宏吉著『学力を育てる』(岩波新書・2005年)
もう10年以上も前の本だが、この著者、志水宏吉さんのご家族のことはよく知っている。

この本、プロローグに20ページ余を費やしている。
ご自分の家族のこと、小学中学高校時代のことを結構詳しく書かれている。
小学校はうちの隣のY小学校。中学はわたしの卒業校でもあるH中学。
そのころのことが生々しく、また生き生きと描かれている。
読んでいて親しみが持てる。

本来この本は現場の教師向けに書かれたもの。
なので難しい教育論は飛ばしながら読ませてもらった。それでけっこう楽しかった。

あ、もうちょっとご家族のことを書いておきましょう。
←二段階クリック
わたしご本人とは面識がありません。 
しかし上のページ(写真)に出てくる人の多くと関りがあります。
もう昔にお亡くなりになった祖父母様のお顔、覚えています。信仰心の篤い人でした。
わたし、大峰山の行者講の講員でもありました。
土用行、寒行で門付けに回りました。
その中の一軒にこのお宅がありました。
夜、ほら貝を吹き鳴らしながら門口に立ちます。
わたしはほら貝を吹けません。ほかの行者の担当です。
わたしはお経の前の前読み担当で、「大和の国は大峰山、高祖神変大菩薩の功力(くりき)をもって唱え奉る御経(おんきょう)には、摩訶般若波羅蜜多心経」と、大きな声で唱えます。
すると戸が開いて中へ招き入れてくださいます。そして、訪れた一行が錫杖を振り鳴らしながら声を揃えて般若心経一巻を上げます。
玄関の板の間にお年寄りから子どもさんまで、ご家族がずらりと並んで正座して、わたしたち行者が唱えるお経を頭を垂れて受けてくださいます。
その中にきっと宏吉さんもおられたのでしょう。
そしてお経が終わると、後(あと)読みです。「ただ今の功徳(くどく)をもって当家家内安全商売繁盛、並びに火難水難病難盗難悪魔退散を祷り奉る~」とまた大きな声で唱えます。わたしの声は若いころはよく通ったのです。
こんなことを今また久しぶりに思い出しました。

志水さん宅は、まことに気持ちの良いご家庭でした。
帰りには、お布施と合わせて、訪れた行者の人数分のタオル(のし付き)を持たせてくださいました。
タオルは会社へのお客様のために常時用意しておられたのでしょう。
お経の間に家族のどなたかが、人数を確認して準備しておられるのです。
見事なものでした。
家によっては、邪魔ものが来たように扱われることもありました。
中には戸を10センチばかり開けて、片手でお布施を差し出して、受け取るとすぐにピシャリと戸を閉めてしまわれる家なども。
あの門付けというのは、人の心がまことによく見えるものでした。
振り返って、自分のありかたを考えさせられるものでもありました。
一年に2回だけのことでしたが、志水さん宅のことはいまだに忘れません。

宏吉さんのお父さんは今もご健在ですが、何年か前まで選挙投票所の立会人を一緒に務めました。
お母さんも信仰心の篤い人で、うちの隣の地蔵祭りの手伝いを毎年加勢してくださいます。
叔母さんもお母さんと一緒に手伝ってくださいます。
宏吉さんのご子息が幼稚園の時にはわたしが審判をする将棋大会に参加してくれました。
その後、宏吉さんが東大の先生になって東京に行かれた後も、東京で将棋を続けているとお聞きしました。
今はもう立派な人になっておられるのでしょうねえ。
これだけの関りがあるのに、このような本を出されていることをつい最近知ったのでした。
迂闊でした。
コメント
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