喫茶 輪

コーヒーカップの耳

「詫び状」

2020-12-16 16:17:31 | 
今朝の神戸新聞、読者文芸欄、詩の部。
特選詩も良かったが、わたしは、入選第一作目 、たつの市の森川資子さんの「詫び状」に心動かされた。

    「詫び状」
  「そうか、もう君はいないのか」
  作家城山三郎さんの本
  奥さん亡き後の言葉
  今 私の毎日同じ思い

  箪笥の中 夫のコート 服 帽子 鞄 
  どれも もう着ることはないのだ
  小屋の中の梯子 草刈り機 剪定鋏など
  夫と共に よく働いてくたびれています
  お疲れさまでした

  寡黙な男が
  几帳面に書いた手帳の中味
  私への愛の言葉は見付かりませんでした
  今日も一人だけの食事作り 詰まらないです
  「ウマイ」と 声をもう一度聞きたい
  夢の中にもっと出て来て欲しい

  阪神戦あなたに話しかけ乍ら見ています
  淋しいです 悲しいです
  でも 安心して下さい
  私ね おひとりさまの仲間が出来ました
  それに娘や孫が爺々とよく来ますね
  どうか私たちを見守って下さい

  庭の金木犀の花がきれいに咲きました
  畑の冬野菜や花も元気に成長しています
  お父さん 足らぬ私を53年間
  本当にありがとうございました


詩としての昇華度はないとしても、こんな詩を書かれたら、天国のご主人泣いちゃいますよね。
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