喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『刻のアラベスク』

2015-12-02 14:48:45 | 本・雑誌
姫路の山田英子さんからお贈り頂いていた随想集『刻のアラベスク』(編集工房ノア)。


300ページ余りのたっぷりした本です。
山田様をわたしは存じ上げません。どなたの縁でお送り頂いたのでしょうか?
読ませて頂きました。
特別にドラマチックなことが書かれているわけではありません。
日常の中から著者が心動かされたことを掬いあげて書いておられる。

先ず「あとがき」を紹介しましょう。

ここにもあるように、「伝えたい思い」、「残したい言葉」などを書いておられる。
しかし、達者な文章です。
先にも書いたように、特別起伏のあることが書かれてはいない。しかし心動かすものがある。伝え方が上手いのでしょう。長年の修錬でしょうか。そして、教養の深さと広さ。

一篇、見開きに収まるものを紹介しましょう。

「いのちの終わりに」です。
著者は意識して書いてはおられないだろうが、起承転結がキチッとしている。そして結の部分で読者の心をつかむ。上手いものです。

後半は海外旅行のことが書かれているものがほとんど。年に数回の海外旅行をしていると。
大体、他人様の旅行記はそれほど面白いものではないことが多い。しかしこの人のものは読ませる力を持っている。漫然と書くのではなく、狙いを定めて書かれている。あれもこれもではなく焦点を決めて書かれている。さらに芸術などへの造詣が深い。その下地があって書かれているから、「おっ」と思うことが散りばめられている。読者に発見の喜びを与える。
読んで良かった、と思える本でした。
山田様、貴重な御本をありがとうございました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「西宮という街」いくつかの... | トップ | 馬場順三さん »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

本・雑誌」カテゴリの最新記事