あいよっこの旅ログ:::Part2:::

「女性のひとり旅は冒険の始まり!」

「脳の食欲中枢は原始時代と変わっていない」

2007-12-04 01:46:04 | 「脳」「こころ」「身体」

この時期、8時半過ぎに家の前の道路がにわかに騒がしくなります。バタバタバタ・・・、ハアハアハア・・、ワンワンウワーン(犬)。いうところの「耐寒訓練」で、近所にある小学校の小学生が走るのです。11月に耐寒?ちょっと早い感じもします。実は息子たちが小学生の頃はちゃんと12月に実施するのが恒例で、最後のしあげにはかなり遠距離を競ったものでした。その後、寒いときにすると風邪をひく子どもが増え(!)、時にインフルエンザなども流行し、紆余曲折を経て今の形になったようです。<o:p></o:p>

 それはともかく、見ているとなんだか太めの子が多く、たいていたらたらと走っている感じです。少し前まで普通の小学生というと、細くて活発に動き回るという印象が強かったのですが、今では小学生に糖尿病も増えているご時勢です。報告では10人に1人が肥満傾向といわれます。

 もちろん小学生だけでなく、大人のメタボリックシンドロームが警告を受けているのはご存知のとおりです。「厚生労働省の平成16年国民健康・栄養調査によると、4074歳において、男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームか、その予備群であることが報告されました」(HPより)アメリカ人に肥満が多く問題になっていることを他人事とできない現状になってきました。<o:p></o:p>

しかしあいよっこも決してやせていないし、標準ともいいがたい。まっ、斉藤和義が唄うように「・・・♪おばさん(原曲はおじさん)は言う日本も変わったなあ、お互い棚の上にのぼりゃ神様さぁ・・・♪」『僕の見たビートルズはTVの中』という感じでお話しましょう。<o:p></o:p>

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 リタ・カーターは『脳と心の地形図』の「飢え」の章で「アメリカ人の3人に1人、西ヨーロッパでは4人に1人が肥満である。今の調子で太り続けたら2020年には全員が太りすぎになるだろう」と言っていますが、あと13年で全員が肥満になるとは思えないですが・・。そして「毎年大勢の人が動脈硬化などの合併症で早死にしている。快感を求める衝動が私たちを死に追いやっている」と説明しています。<o:p></o:p>

 食欲だけでなく、私たちの身体の衝動や欲求をコントロールしているのは、大脳辺縁系(つまり古い哺乳類時期の無意識的な脳)の一部、「視床下部」というごく小さな器官です。重量は脳全体のなんと300分の1しかありません。ところがこれのどこかの核の働きがほんの少しおかしくなっただけで、身体や精神に深刻な影響が起こるといわれるほど重要な器官です。食欲に関しては、体内の血糖値やミネラル・脂肪などの栄養素レベルが低下したという情報が視床下部に送られると、皮質(意識的脳)に命令を出して、脳の各部分を刺激し、空腹感が生まれます。すると人間は冷蔵庫を探したり、何かを調理したり、コンビニに買いに走ったりするわけです。そして満腹になると快感を覚えおなかも心も満たされ、「満腹だ、もう入らん!」の感覚でごちそうさまとなるのです。この繰り返しがバランスよく機能していればいいわけですが、事はそれほど単純ではないようです。 

 

(写真:ルミナス神戸2から、明石大橋の裏側を見ました。こうして見ると

なんだか面白いですね。)

 

 視床下部自体の食欲センサーの機能不全もあるし、他の意識的な飢えや満腹感を感じる部分との接続が滞っていることもあります。大きな要因はメッセージをやりとりする神経伝達物質(脳内ホルモン)が影響します。たとえば代表的なセロトニンが多いと食欲は減退し、少ないと旺盛になります。

 「肥満」も、そして食にこだわる症状の「摂食障害」なども、論理的にはこうした物質、つまり食欲減退剤といった薬で脳に直接働きかける治療が可能となります。しかしこれらの症状は単に伝達物質の過多だけでなく、「文化的な側面」や「意識的な部分」「考え方の領域」からの影響も大きく、本人の意識を変えることに重点を置く治療法が主流となっているのです。外からの化学物質(薬)より、自分でホルモンの調整を行うほうが身体的にも脳的にも大切ということなのでしょう。なんでも簡単に刺激→快感となってはいけないのです。政府が「食育」を今になって必死に推進しているのはこんなわけなのでしょう。

 「食べ物を欲しがる遺伝子はいまのところ健在だ。よけいな脂肪を身体にくっつけることにかけては、私たちはいまだ原始人とかわらないのである」とリタ・カーターは結んでいます。古来生き延びるために、食欲を満たすことで快感を与えてきた脳ですが、環境が大きく変化して食べ物がいつでもどこでも手に入るようになった今でも、ひたすら遺伝子は食べ物を欲しがっているのです。悪いのはやっぱり遺伝子。あいよっこが太っているのも、食べることが大好きなのも、郵便ポストが赤いのも?み~~んな遺伝子のしわざ!?<o:p></o:p>

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「身体の声を聞く」

2007-11-29 23:01:14 | 「脳」「こころ」「身体」

みなさんは身体に良い、健康に良い、なにかに効く、という栄養剤とかサプリメントを摂取していますか?ドラッグストアのコーナーに行くと、いやー、それにしてもたくさんの種類、すごい量が販売されています。さらに中高年向けの健康雑誌、地域で発行されるフリーパーパー、新聞紙上の広告、TV番組で、そしてTVショッピングで。どこもかしこも健康食品、薬品だらけ。

なかでも「~~を食べてすっきりダイエット」「これを食べてメタボリックを解消」など、そもそも矛盾ですよね?マス・メディアの「誇大広告」「偽装」「番組での過剰演出」「商業主義(売らんかな主義)」が指摘されても、それに乗ってしまうところが私たちの弱いところです。<o:p></o:p>

「わが身を守る欲望」はことばを変えると「安心・安全を守る欲望」ともいえますし、さらには「不老不死を願う欲望」に続いていくのでしょう。もちろん口から食べたり飲んだりするので、食欲とも関係しています。その昔は権力の頂上にいる王様のものだった願いが、今では全員のものになったのです。<o:p></o:p>

小学校の給食に鯨から作った「肝油」というものがありました。ビタミンAを補うための甘くて赤いドロップスを、私も食べるのが好きでした。このころから日本人は栄養素を物質で補う習慣ができたようにも思えます。その後日本人は世界の中でも薬好きに成長(?)したのです。メディアでは、若い女性が多種類のサプリメントを食事代わりにしている、などと面白おかしく報道していますし、現実に私の周囲でもなんらかのサプリメントを摂取している人はかなりいます。そのこと自体が悪いわけではなく、肝心の食事に対する配慮が少なくなることが心配です。

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写真:奄美大島のバス停「ばしゃ山村」と上方のばしゃ山文化村。こんなバス停があるといいな

 

 

今はできるだけ食品以外の栄養剤やサプリメント類を、私は摂取したくないのです。栄養学的には食品をバランス良く、腹八分目食べることが基本と学びました。(これがきちんとできないところが問題ではあります)どんなに良いといっても、やはり合成された物質は添加物も含んでいて、身体にとって異物ではないでしょうか?<o:p></o:p>

日本ではお料理を作るのはまだまだ女性が圧倒的に多いですが、それが「女性の寿命の長さに関係している」という説もあります。つまり無意識に自分の身体が必要としている食品を選択して、調理しているからだと思います。たくさんある食材のなかで「今日はこれとこれをあの料理にしよう」と選ぶとき、そういえば必ず自分が欲しいものを選んでいます。<o:p></o:p>

「医食同源」。本当の健康は自分の身体が必要とするものを摂取することから。そのためには自分の身体の声に耳を澄ませることが大切です。外からの情報に振り回されるのではなく、もっともっと自分の身体を意識することが必要だと思うのです。<o:p></o:p>

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「ハラハラ・ドキドキはカイカーンのもと」

2007-11-28 02:47:35 | 「脳」「こころ」「身体」

「赤ちゃんはまずママのおっぱいに依存する」と書きましたが、おっぱいは食べ物を与えてくれるものであり、ひいてはわが身を守るものでもあります。さらに赤ちゃんは、おっぱいを吸う行為に最初から「性的快感」を感じている、と指摘したのはかの有名なフロイト(ジークムント・フロイド、1856-1939)です。乳幼児の発達を「リビドー(性的欲望に基づく精神エネルギー、意味わかりにくいですね)」の概念から考察して、最初の段階を「口唇期」と名づけました。赤ちゃんにとっては「口」だけが世界のすべて、という時期です。<o:p></o:p>

こうして見ると欲望はきちんと分類できるものではなく、いろいろな場面で重なり合ったりつながったりしているもののようです。赤ちゃんとお母さんに始まる「他者に対する依存」は今日最も重要なことであるし、一方さまざまな問題を含んでいます。これについてはまた後で考えましょう。<o:p></o:p>

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さて話を元に戻して、3番目の「わが身を守る欲望」についてです。現代日本ではもちろん戦争や紛争はないし、悪くなったとはいえ治安も相対的には良いので、外敵に責められることは少ないです。それなのにわざわざ戦争地域に行って見たい人はいるようです。今現在もイラクで人質になっている人もいますし、かつて大きな人質事件もありました。<o:p></o:p>

写真:奄美空港近くの海岸。海も山も空もくっきり。

 

 

また古今東西冒険に挑む人は多いし、危険を承知で厳しい自然に挑戦する人は後をたちません。こうした行動は、「身を守る欲望」とは全く反対の行為と思えますが、なぜなのでしょう?冒険に向かう原動力の一つはもちろん好奇心だと思いますが、どういうわけだか「危険な行動につきもののはらはら・ドキドキの不安感や危険に向かう恐怖心など」を人は求めてしまうみたいです。日常生活でスリラー・ミステリー小説を読んだり、さらに気味悪い映画を見たり、おばけ屋敷に興奮する行為もやはりそのたぐいでしょう。そして現実に死亡事故が起こる可能性もあるのに、人々は嬉々としてジェットコースターで勇気試しをします。<o:p></o:p>

どうしてわざわざドキドキのことをするのか?って自分の場合を考えてみると、やはりその前の不安や恐怖が多いほど、問題が解決したとき、ほっとしたときの気持ちは、これは「カイカーン!」といえるからだと思います。こうした行為は「わが身を守る欲望」が形を変えたもの、進化の足跡といえるのでしょうか?<o:p></o:p>

現代社会では「冒険的行為」は勇気のある行動だし、依存とは言わないですが、これに類するものは「ギャンブル依存」などがあります。パチンコに夢中になって乳幼児を車に置いたまま放置し、熱中症で亡くなる事件は毎年起こります。はらはらドキドキも人に迷惑をかけない形で充足できるといいですね。<o:p></o:p>


「依存の基本はママのおっぱい?」

2007-11-25 21:35:42 | 「脳」「こころ」「身体」

「依存」を脳の仕組みからいうと、たとえば「薬物依存が起こる仕組みは、空腹を感じる仕組みと同じである。ただし薬物は食べ物と違って、【中略】・・耐性がついて、次第に量を増やさないと同じ効果が得られなくなるし、その物質が体内にないと落ち着かない依存状態になる(リタ・カーター)」といっているので、「食欲に関係している」のかなと思います。<o:p></o:p>

そして「依存性薬物のほとんどは、大脳辺縁系の一部の報酬経路に作用して、セロトニン、ドーパミン、エンドルフィン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質のレベルを変える働きを持つ(同)」といったいわゆる快楽を起こす脳内ホルモンに直接働きかけることがわかります。<o:p></o:p>

 では臨床心理学=こころは、「依存性」をどう見ているのでしょう。「他者の力を頼りにしようとする性格、行動傾向を示す発達心理学用語。特に乳児が母親に対して示す接近的な傾向を示すことが多い」(『臨床心理学キーワード』)つまり乳児にとっては母親が飢餓動因を満たしてくれる存在なので、接近行動をおこし、依存性を持つというのです。そのときの脳の状態が「食欲を満たされた時に脳内ホルモンが出て、高揚感・快楽を感じる」となるのでしょう。基本的な依存とはママのおっぱいから始まるのです。

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写真:奄美ばしゃ山村の玄関。レストランの入り口も同じ雰囲気。

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 みなさんは自分はこれに依存している、というものがありますか?コントロールを喪失し、それがないと禁断症状が出るとまではいかなくても、もしなかったら落ち着かないとか不安になる程度のものは、たいていだれもが持っているものです。これを見ているような人だったら、ネット依存とかケータイ依存とかの傾向は強いのではないでしょうか?<o:p></o:p>

 前に書いたように「脳の基本的な欲望は、食べ物を見つける、セックスする、わが身を守るといったこと」(リタ・カーター)です。食べ物に対する依存は、つまり口から入るものに当てはまります。私もこれに属するでしょう。そのつどこだわりの食品とかスイーツにはまったりします。ときにコントロール不可です。助けて~~!<o:p></o:p>

次に恋愛依存症・セックス依存症は二番目の欲望です。私もこれに・・・どうかな?心理療法の中には「セックスセラピー」というものもあります。セックス時のオルガスムは、(自分で作る)脳内ホルモンが最大になるといわれます。脳と身体とこころにとって大切なことなのです。<o:p></o:p>

 長くなったので次回に続きます。


「ドーピング」

2007-11-23 21:43:16 | 「脳」「こころ」「身体」

ドーピングは「男性ホルモン」「蛋白同化ステロイド」「成長ホルモン」などの薬物を使って筋肉増強を図ったり、興奮させたりして、スポーツの記録や成績をあげようとする行為です。<o:p></o:p>

最近では女子短距離陸上界のスター、マリオン・ジョーンズ(シドニーオリンピックで3個の金メダル・米)が家族にあてた手紙で、「禁止薬物を使用していた」と告白し話題になりました。彼女は優れた身体能力を持ち、多種類の競技に挑戦したところから「女性カール・ルイス」というあだ名もあったそうです。

しかしオリンピック委員会では100回を超える検査でもドーピングを見抜けず、はからずも「チェックのいい加減さ」が明らかになってしまいました。つまりひっかからなければOK、周到なスキルや方法を持つ人が有利になるのです。<o:p></o:p>

野球のバリー・ボンズ外野手(サンフランシスコ・ジャイアンツのホームランバッター)も薬物使用が疑われ、最近問題になっています。このような疑惑はスポーツ界に蔓延していることが指摘され、事実たくさんの不祥事も相次いでいます。<o:p></o:p>

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読売新聞1114日付けに「『ドーピングは悪』なのか」という記事がありました。そもそもドーピングはなぜ「悪」なのか、そのルールは正しいといえるのかを考察しています。その中で印象に残ったのは神戸女学院大教授で合気道暦30年という内田樹さん(57)のことばです。(筆者省略でその一部を書きます)「本来人間の身体能力は、敵に襲われた時逃げるという力だった。だがスポーツはその火事場のバカ力をずっと使う、命を削るような営み」「ドーピングとは体が嫌がることを、金や名誉のために脳が命令し、受け入れさせる。そんな倒錯的なことをするのは人間だけ」だけど脳だけの責任でもない。「脳が体を支配すると考える人が多いが、脳だって臓器のひとつ。脳と体はバラバラではない」その一例として「村上春樹さんはランニングを長年続けることで作家としての能力も高めていった」と説明しています。<o:p></o:p>

記事では「日本人は生き延びるための身体能力をないがしろにしているのでは?脳ばかりが肥大した人間が増えている社会は危険」と問題提起しています。<o:p></o:p>

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 でもドーピングは、覚せい剤やアルコールなど他の化学物質の摂取と同じこと。手軽にスピーディに「脳にFireDanceを起こし、身体能力を高める」効果を出そうとする行為なのですが、「悪か、そうでないのか」を議論するところに、「いくばくかの許容姿勢」が見て取れます。それはスポーツの効果をあげるという正当な理由(とされるもの)があるからでしょう。<o:p></o:p>

 息子が野球をしていた頃、SAVASプロテインというものを摂取していた時期がありました。いったいなんだろう?なんのために飲むのだろう?と不安はあったのですが、口を出すことはできません。まあこれには変なものは入ってないと思いますが、指導者などから言われると普通は従います。あれが良い、といわれれば飲み、これが効く、と宣伝されればためらうことなく摂取する、というのが普通の感覚になっているのですね。

そこに危険があるという意識があまりないのです。                                     

 

 

写真:あやまる岬のハイビスカスと海。

「ここであやまれ!」の場所ではなく、丸く盛り上がった地形があや織りの手まりに似ているからだよ