イーロン・マスクが儲け過ぎて批判を気にしているようです。まさに、そんなに儲けてどうするの状態のようです。
それにしても、株とは恐ろしいものです。さて、やはり究極の目的は火星移住なのでしょうか。
宮崎さんがそんなマスクを取り上げてくれています。マスクというより、その株で儲けようとするマネーゲームの亡者達の方がおかしいのじゃないでしょうか。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)11月8日(月曜日)
通巻第7113号
イーロン・マスク、保有するテスラ株の10%売却を提案。
金持ちが税金を払っていない批判に答え、世界食糧計画にも寄付?
ベゾスを抜いて世界一の金持ちとされるイーロン・マスクは、「納税していない、世界の食糧危機に協力しない」等と批判され てきた。
テスラは次世代EVが好評とされ、株価は過去一年で400ドルから1240ドル台へと大躍進を遂げた。時価総額は23兆円と される。まさに株価バブルであり、株式専門家から言えば絶妙の「売り時」である。
11月6日、マスクはツィッターで「保有株の10%を売ろうと思うが、如何か?」と投票を呼びかけるという意表を突く戦法 にでた。
三時間後、百万以上の反応があり、54・1%が賛成、45・9%が反対。つまりテスラの株が市場で売られる。大量の株放出と なれば、株価は下落するだろう。
ちなみに11月6日の終値は1222ドル09セント(前日比7・8%下落)
現在値で計算すれば、マスクはこれにより42億ドル(4600億円)が課税される。
「私はテスラから給料は貰っていない。また人類の発展のために役立てたい」とその使い道を示唆した。
一方、マスクがカリフォルニア州ヒルスボローに所有する豪邸も売りに出している。
47エーカーという宏大な森のなか、百年前のフランス風の洋館には、宴会場、音楽室なども備わり、豪華な古城という印象だ が、住み飽きたので、という理由をつけた。
但し、コロナ災禍以後のテレワークの流行に拠って、家賃の高いシリコンバレーから、多くのエンジニアらはテキサス州やアリ ゾナ州へ引っ越しており、カリフォルニア州の不動産価格は下がる一方というのが市況である。
一方、こんな人もいるようです。これこそが、アメリカとChinaの最大の違いなのでしょう。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)11月9日(火曜日)
通巻第7114号
イカロスの翼を馬雲は失ったのか。アリババの風雲児、スペインで隠棲?
霜月の朝顔は、萎んで花を咲かせる力がない
イカロスはギリシア神話にでてくる有名な逸話である。蝋で翼を固め、空を自由自在に飛んでいたイカロスは太陽に近付きすぎて、翼の蝋が溶けて失速、海に落ちた。
現代文明のテクノロジーを信じて、ネットワークの新業種で瞬く間にのし上がった新興財閥は、最高権力者の怒りに触れて落剥の身となった。
新しい寓話が成立した。
アリババ創業者の馬雲は、共産主義全体社会のパラダイムのなかにあって、何処まで自在に商業活動が可能かを示した。
すなわち、かの「中国的社会主義市場経済」なる奇妙奇天烈な枠組みのなかで自由競争の限界に挑戦し、権力に敗れた典型の事例を満天下に示した。
国際大会で馬雲は、「システマティック・リスクというけれど、中国にはシステムがない」と本当のことを発言し、中央政府の怒りを買ったといわれ、子会社の「アント」という金融企業の上場が突如阻まれた。
その前に、馬雲は誕生したばかりのトランプ政権に食い入り、ソフトバンクの孫正義、鴻海精密工業の郭台銘らと組んでアメリカへの大々的投資を行うファンドを創設するとした。
中国共産党は、この出過ぎた「民間外交」にも怒りを露わにしたと事情通が言う。
一年以上も消息が絶えていた馬雲は、極秘裏に香港へ現れ、その後「農業研修」と称してスペインのマヨルカ島に滞在している。ビル・ゲーツのように農業の新ビジネスに打って出る準備とも言われる。
筆者が思い浮かべたのはイカロスではなく、霜月の朝顔だった。
朝顔は生薬の原料になり古くは平安時代から珍重された。中国では「牽牛」と言われるほどに貴重な薬草の扱いを受け、贈り物には牛車で届けた。
「朝顔につるべとられてもらい水」(加賀千代)
朝顔は真夏に咲き乱れるほど盛んな勢いを見せるが、季語は秋である。そして秋も霜月となると蕾がちらほら、花とはならず、萎んだままである。生気を失って、朽ち果てるのを待つ。
ひょっとして馬雲は「霜月の朝顔」?
それにしても、想像も出来ない世界です。と言うか、それが幸せなのでしょうか。