昨夜、あるバス停に2つの人影があったので、私はバスを止めて扉を開けた。一人は乗客だったけれど、もう一人のおじさんは見送りだったようで「この“婆さん”頼むねぇ~!」と私に言った。私もつられて笑顔になり「はい」と答えた。
走り出して5分と経たない内に、車内から“明らかに電話をしている声”が聞こえてきた。「遠慮を知らなさそうな… この甲高い声は…」と思って車内ミラーを見ると、案の定、さっき乗ったばかりの“婆”だった。
すぐに私は注意したのだが、聞こえているのかいないのか… 完全無視であった。「○○ちゃんには優しくしてな。△△はえぇわ、優しくせんでも…」などと話していたところをみると、見送り人は息子で、孫たちのことを言っていたのかも… 2~3分で話は終わった。
ところが、また5分と経たない内に電話で話し始めたのである。私は以前のような“強硬手段”に出ようかと思ったのだが、近年は“正義よりも苦情(逆恨み)が強い”バカバカしい世界で戦う虚しさを感じつつあり… 迷っている内に電話は終わった。
が、またまた5分と経たない内に電話で話し始めたので、私は車内ミラー越しに婆を見ながら注意した。すると、「私も飲み過ぎてベロンベロンだがねぇ…」などと喋っていた婆が「はい! すいません…」と言ってから電話を切った。
某駅に到着すると、ケータイ婆がスッと席を立って、ピンッと背筋を伸ばして「どうもありがとうございました」と言いながら深々と頭を下げたのであった… まったく酒臭くなかったので、本当にベロンベロンだったかどうかは不明だが… 最後は“素直で可愛い婆ちゃん”だった。一応…
「よくもまぁ… 毎日ネタがあるねぇ~!」と何度か言われたことがある。正直なところ、私も「いつまで続くのか、試しにやってみよう」という軽い気持ちで“毎日更新”を始めたので、「2~3ヵ月も続けば上出来だろう」と思っていたのだが…
それにしても、予想以上に続いてしまっている(実は、飽きっぽい私が一番驚いていたりして…)。しかし、話のネタがそんなに都合よく毎日一個ずつあるわけはなく、何もない日もあれば何件もある日もあり、基本的にはそれらを一日一件にバラして書いているのである。
また、その日の私の精神状態というかボケ脳の調子というか… それが良ければ、ちょっとしたことでも“自慢の妄想力(?)”を駆使して話を書けるけれど、それが悪いと“例え同じネタに遭遇した”としても「今日は何もなかった」となってしまっているように思う。
もう一つ、考えられるとしたら… “類は友を呼ぶ”ということですかねぇ!? つまり、ボケが運転するバスには、そういう…(おい、こらっ!) あ、失礼しました。前言を撤回すると共に、お詫び申し上げます。
ん? そういえば… 昨年の秋だったか… 一度、私がボケてブログの更新を忘れてしまって、「これからは、この日をブログの休日にしよう」なんて書いた記憶が… しかし今年は休むのを忘れてしまったようで… まぁ、こんなもんです。ハハハ…
先月の“運転士監視モニターによる採点シート”は3枚で、点数は47点、63点、75点だった。だいたいいつも「丁寧で感じは良い」のだが「全体的に案内が少ない」という寸評である。
ちょっと何かあると慌ててしまう私は、発車前に案内をするようにしている。だから、そこで何か質問されたり、そこへの到着が遅れてすぐに発車しなければならなかったりすると、ほとんど案内もなしにそのまま発車… 今回の47点はそんな場合だったと思われる。
また、75点のシートには「何度もお年寄りが走ってきたが、それを見落とさずいつも待っていた」と書いてあった(他の運転士もやっていることだとは思うが…)。どんなことでも褒められるのは嬉しいのだが、ちょっと前に書いたような“置き去り”もあるのが実情である。たまたま、そういう場面になっただけ… そう、点数の良し悪しにも運があるのだ。
それと、乗客の中には「そんなの待ってないでサッサと行けよ!」と思っている人がいるかもしれないので、私は「そうやって待つことが絶対に正しい!」とは思っていない。乗客もいろいろ、運転士もいろいろ… どうせ賛否両論になるのだから、自分が「良い」と思ったようにやるしかないのである。“自分の好きなようにやれる”という言い方もあるのか!? ちょっと誤解されそうだけれど…
さて、意味違いついでに話を続け… もしも“何時間空けようとも、1日に2回の睡眠を取ることを二度寝という”ならば… バスの運転士に限らず、生活のリズムが不規則になるような仕事をやっている人は、みんながボケることになる。
仮に、ボケる原因が“脳が早く老化すること”にあるとしたら、ちょっと分かるような気がする。「幽霊をミタ!」というのも“脳が良かれと思ってやっていることが裏目に出た場合”が多いと聞いたことがあるからだ。そんな脳だから… こんな私のボケ脳だから… 二度寝した時に、脳が「2日も経った」と思うに違いない。(そんなバカな!)
バスの運転士になって約10年、だいたい2日に1回は“二度寝”する生活が続いている。つまり、2日しか経っていないのに3日経ったと思っている私のボケ脳は… 実際より5年も余計に老化していることになるのだ。
ということは… 私の脳は、あと数年で定年を迎えてしまう。しかし、戸籍上はもう少し“若い”ので、まだまだ働かなくてはならず… 身体はバスを運転していても、頭の中は“縁側でひなたぼっこしているお爺さん”といったところか…
加齢によってパワーアップした“妄想癖”が、バスの運転中に大きく膨らんで… 「ちょっと運転士さん! どこ行くの? そっちは歓楽街でしょ!?」なんて言われてたりして…
今日の昼過ぎ… あるバス停で乗ったおじさんが、2枚の千円札を差し出して「ICカードをください」と言った。普通は「××をください」と、カードの名称をを言われるのだが、その人は本当にそのまま「ICカード」と言ったのである。そんな言い方をされたのは初めてだった。私もココでは「ICカード」と書いているけれど…
今日の夕方… あるバス停で止まると、一人のおばさんが中扉から降り… と思ったら、扉の内側で“スッと気を付け”をして“サッと右向け右”をして… 私の方を向いて、何も言わずに深々とお辞儀をした。そこまでされるような心当たりがない私は「あ、ありがとうございました…」と言うことしかできなかった。きっと、その人はいつでもどこでもそうなんだろうなぁ…
ちょっと前のこと… あるバス停の手前の赤信号で、一人のおばさんが「次、降りるから… いい?」と言いながらフリーパスを見せた。その人は大きな荷物を持っていたので、私は「はい、どうぞ… ありがとうございます」と答えた。すると、バス停で降りる時に「これ… あとで食べやぁ~」と言いながら、私に2粒の黒飴をくれた。高い安いではなく、“気持ち”をもらって嬉しかった…