しとしと雨の日曜日です。
6月号の文藝春秋はお読みになりましたでしょうか?
「英国コロナ対策『大逆転』の勝因」です。
コロナを甘く見て12万人以上の死者を出した英国が、巧みなワクチン戦略で勝利を手にしようとしている理由がわかります。
これを実現したのは、ケイト・ビンガムさんという55歳の女性をタスクフォースの責任者に任命したため。
ケイトさんはワクチンの専門家ではなく、ベンチャーキャピタリストだそうな。
ベンチャーキャピタリストは「ベンチャー企業に投資するため、資金を集めてファンドの運営責任を担う人」だ。
この人がジョンソン首相から「人々の命をできる限り早く救ってほしい」と、たった一言依頼されて、仕事を引き受けたそうだ。
なので何よりスピード重視だったという。
ケイトさんをトップとするタスクフォースは、医療や新薬業界に30年以上携わるプロで構成されたチームで、世界的なワクチン開発にかかわる人材に「電話1本」で繋がっていたという。
契約にこぎつけるスピードは「木曜日に1度目のミーティング、2日後に2度目のミーティング、翌週には契約の骨子に合意」だそうな。
アメリカまで行って「電話一本してお願いしただけ」を自慢するだけで、契約とは無縁だったどこぞの首相とはエライ違いだ。
大臣に対してもケイトさんが「24時間以内に決定してください」と言うと、大臣もこの要請を聞き入れたという。
接種会場も地域の薬局やスーパー、教会、モスク、スポーツセンター、競馬場と様々。
予約もテキストメッセージや電話でお呼びががかる仕組みだったという。
さらにシロウトでもワクチン接種できるよう「職業不問」で研修を施し「接種ボランティア」を育成した。
その結果3月のある週には1日51万2000人にワクチン接種したそうだ。
ボランティア育成して1日51万人ですから、ニッポンで1日100万人は到底ムリ!!
ことほど左様、危機管理とはまさにこれだ。
またワクチンの2回接種に関しても、「当初3週間後が適当」とされていたのが、その後「2回目の接種が遅いと免疫力が高まるデータが出たので、2か月後に打つのがよい」として、まずは「国民に1回目の接種を優先する」措置が取られたそうだ。
あれ? 我がニッポン国ではいまも3週間後ですけど…
もし英国方式が正しいなら、2回接種から当面1回接種にして、2倍の人数に接種した方が、国益にかなうんでないの?
どうしても東京五輪開催したいなら、1回の接種で多くの国民に打った方がいんでないの???
ですが記事によると、田村憲久厚労大臣は「2回打ちで薬事承認しているので、制度上、難しい」という。
奮闘している田村さんですが、「薬事承認だからダメ」では、「この国では危機管理ができないのかい!」とため息も出る。
大逆転した英国、一時は大成功した台湾、それにはちゃんと理由があって、ニッポンのワクチン敗戦にもちゃんと理由があったってことだ。
ボランティアにも注射打たせる話、またまた太平洋戦争の話で恐縮だけど、米空軍機グラマンの操縦マニュアルがマンガだったってことに通じるような気がします。
旧日本軍のパイロットがいくら優秀でも、いくら優秀なゼロ戦でも、戦争は消耗戦だ、なのでマンガで速成したパイロット(ようはボランティア)には勝てなかったって話なのだ。
あの戦争と同じように、今回もワクチン敗戦国と化したニッポン国には、ちゃんと理由があったのだ。