グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

地神様・いぼっちゃ

2011年01月14日 | 歴史・文化
 今朝は、とっても寒かったですね~!
このところ、昨夜もその前の晩も雨がパラついていた島の南部です。

 関東地方は、ずっと雨がなくて乾燥注意報が出ているところもあるようですね。
ご注意ください。

 大島も広いので地域によって天気が違うことがあります。海を渡って来た雲が、三原山に引っ掛かって雨を降らせたのでしょうか?

 大島の大きさを例えて、「東京のJR山手線くらいの大きさ」と言います。
時刻表で見ると、山手線の営業キロ数は1周34.5キロ。

 都道の大島循環線(都道208号・207号の一部:一周道路)は、40キロ程らしいので、だいたいの大きさを想像してみて下さい。

 その広い大島で、小さな祠(ほこら)を訪ねて行きます。



 イチョウの落ち葉が、黄色い敷物のようになっています。

 南部の差木地(さしきじ)にある春日神社の境内には、大小100株以上のイヌマキが自生し、その林は「春日神社のイヌマキ群叢」として東京都の天然記念物に指定されています(1958年10月7日指定)。

 イチイ科のイヌマキは、関東以西の主に太平洋岸の暖地に分布する常緑高木で、潮風に強いため、民家の生垣などによく使われていますが、ここのイヌマキ林は幹周り90センチ以上のものが約7割を超えて優占しています。スギが2割程と、単木が数種混じっています。



 大島の自然林の主要な構成種であるスダジイは1本も見られず、こんなふうに巨木となったイヌマキだけが優占する林は大変珍しく貴重です。

 神社のある辺りが「ヤカタ」という地名で、昔々偉いお方の館(やかた)があったとか。その方がイヌマキ好きで、選択的にこの木だけを残したのでしょうか?

 立派な社殿の近くに、いくつも石の祠があって、正月飾りがしてあるものも↓。



 この写真↑の祠の台の前に立てられているのは、御幣(ごへい)です。神祭用具の幣束(へいそく)を尊敬語にして「御幣」。白い紙を幣串に挟んだものを1対にして奉ります。

 

 イヌマキの巨木に、びっしりマメヅタ(シダの一種)が着いていました。

 石の祠が造られるようになる前は、萱(カヤ:ススキ)数十本を数ヶ所たばね、下方を地上に円錐形に広げて一方に口を設け、中に御幣1対を立てた素朴な小祠であったそうです。そのなごりでしょうか、石の祠にまで萱のおおいがしてありました↓。
 


 この↑おおいのことを「イボッチャ」と呼びます。柳田国男編『伊豆大島方言集』には、イボッチャすなわち地神(様)と記されています。ジジンゴウ(地神宮)とも呼んだり、篠竹で作ったものを竹舎:タケシャとも呼ぶようです。

 神を擬人化して、その居場所に屋根を付けたり、家型の祭る所を作る習俗は世界各地で見られることのようです。地域の特徴は、他の地域を見るとはっきりしますね。

(なるせ)

コメント
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