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日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

視点を変えてみよう

2005-11-27 22:43:50 | 仕事のコツ
「骨折をしてしまったことは、致し方ない」と諦めというか、開き直ってしまうところがある。
しかし、骨折をして感じたことを少し述べてみたい。
もしかしたら「モノを見る」ということと、関係しているかも知れないと感じたからだ。

骨折をした箇所は、右足のくるぶしから小指方向へ1.5~2.0㎝といったところ。
昨日担当してくださった、整形外科の先生に言わせると「一番(骨が)、くっ付き難いところ」だそうだ。
だからだろう、私の「松葉杖では、(階段の昇り降りなど)生活に支障をきたすので、出来れば他の方法で治療できないか?」というお願いに、「それは出来ません」の一言で終わってしまった。

この「松葉杖」というモノ、足を捻挫したり骨折をしない限り、ご用のないモノだと思う。
U-2さんが下さったコメントにあるとおり、突然松葉杖を使うことになると「気落ちする」という傾向がある。
傍で見るより、本人にとって掛かる負担は肉体的にも精神的にも大きいのだ。

実際、使ってみるととにかく「不安定」な「生活補助具」である。
医療関係者からすれば、「松葉杖」は「医療器具」だと思う。
でも、実際に使う怪我人にとっては「生活補助具」なのだ。
「生活補助具」という視点で観れば、生活をするための移動補助具(もしくは、「歩行補助具」)なのだが、怪我をしていない足だけではなく、上半身まで相当動作が制限される(=生活に支障をきたす)ことになる。
あの形状を見れば、当然といえば当然なのだが、自分の体(=体重)を、あの細い先で支えなくてはいけない。
その為実際には、腕や手のひらで自分の体重を支えるということになるのだ。
怪我をしていない、もう片方の足で自分の体を支えるというイメージでは、上手に使いこなせない。
したがって、「松葉杖を使うトレーニング」が必要になる(もしかしたら、トレーニングが必要なのは、私のように「運動神経に難あり」人間だけ?)。

でも、怪我をしている本人からすれば「上手に使いこなす為のトレーニングが必要」というのは、都合が悪すぎる。
体そのものは、元気なのでトイレに行ったり、歯を磨いたり、部屋を移動したりという当たり前の動作を、直ぐにしなくてはならないのだ。
それこそ、トレーニングをして上手に使いこなせる頃には、足の怪我は治ってしまっている可能性だってある。
それでは、松葉杖を使う意味が半減してしまうのではないだろうか?

では、何故そのようなズレが利用者と医療関係者との間に生まれるのだろう?
それは、医療関係者が「松葉杖」の商品ポジショニングを「医療器具」としているのに対して、利用者である患者は「生活補助具」として使っているからではないだろうか?
あの形状が、患者にとってベストなデザインなのか?
何よりも、患者の利用期間と使いこなせるようになるまでの訓練期間が合っているのか?
そんな見方をこれまでされてきたのか、疑問を感じるのだ。

医療の現場というのは、患者よりも医師など医療スタッフの発言が強い。
それは「専門性」ということにおいて、様々な知識や技術を必要としているからだろう。
しかし、そこに「患者の視線・視点」というモノが、欠けているのではないだろうか?
「快適な治療期間の提供」ということも、医療には求められるのでは?
それは、医療という分野だけではなく、様々な分野でも同じコトなのだ。
そのような視点が、「イノベーション」へと変わっていくのではないだろうか?
そんなことを思いながら、拙ブログを見てくださる方の中に医療関係者の方がいて、「松葉杖」の形状を見直したり、「快適な治療期間の提供とは?」という疑問を持ってくださることを願っている。

「歩く」という行為の複雑さを「痛い」思いをしながら、感じています。
あ~、早く自分の足で「普通」に歩きたい!!