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「エコ」?それとも環境破壊?-洗剤のテレビCM-

2006-04-10 13:15:03 | CMウォッチ
この春から始まったテレビCMの中に、「エコ」を謳うモノがいくつかある。
CMのオンエア回数が多く、生活者に影響力が強いといえば「洗剤」だろう。
そんな中、昨日の毎日新聞WEBサイトにアブラヤシ:「環境にやさしい」は誤解生む、変更求めるという記事が、掲載されている。

「タレントの菊川怜が出演しているCM」といえば、思い出す方もいるだろう。
菊川怜の知的なイメージで「エコ」と言われると、「そうなのか~」と思う生活者も少なくはないはずだ。
むしろ、それが目的だろう。
そのテレビCMに、環境保護団体がかみついたというのが、今回の記事だ。

実はヤシ油洗剤については、同じような抗議が以前にもあった。
余り話題にならなかったので、覚えている方も少ないかも知れないが・・・。
「エコロジー」という言葉が、流行り始めた頃だったと思う。
食器洗いや衣料洗剤などに汚染された家庭排水の方が、工業排水よりも環境に影響を与えている。というので、洗剤メーカーが一斉にヤシ油などの「植物原料洗剤」を発売したのだ。
その結果、ヤシ油の生産が追いつかなくなり一気に、アブラヤシを栽培する農園が増やすために、「森林開拓」という名の「森林伐採が行われた」ということだった。
しばらくしてから、ヤシ油洗剤のテレビCMは姿を消した。
代わりに登場したのが「天然せっけん」と呼ばれる、商品だった。
だからこの春、この洗剤CMを見たとき、「今更ヤシ油洗剤?」という印象を持ったのだ。

「使うエコ」という視点であれば、このCMはありだろう。
でも、「生産過程でのエコ」という点では、OUTのようだ。
これからの企業は「使うエコ」だけではなく、「生産過程でのエコ」も考えなくてはいけない。
そんな気がする。