日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

なるほど・・・ユニクロの戦略

2009-03-17 21:12:16 | マーケティング
日経新聞に、ユニクロ、ジル・サンダー氏と提携 商品監修や独自商品 と言う記事が、掲載されている。
ジル・サンダーといわれても「誰????」という方も、いらっしゃるかも知れない。
ファッションニュース系のサイトに、昨年発表されたモノがあったのでご覧いただければと思う。
「ファッション」というと、ゴテゴテとしたデザインだとか、突拍子も無いデザインを思い浮かべる方もいらっしゃるかも知れないのだが、むしろジル・サンダーのような「何気ない、当たり前に普通に着られる服」のほうが多い。
それが、今のトレンドだとも言える。
その中心的デザインを、長い間作り続けてきた一人がジル・サンダースなのだ。

一方、ユニクロだが3年ほど前から丸山敬太さんや、デビュー間もないデザイナーのデザインの服を販売してきたのは、ご存知だろう。
丸山敬太さんなどのデザインは、カシミアなどの高級素材を使い、通常のユニクロとは若干価格も高めの設定をされていた。
ただ昨シーズンは、この商品ラインが見られなかったように思う。
その事を考えれば、今回のジル・サンダースとの提携の、前準備だったのかも知れない。

もう一つは、先日発表された「990円ジーンズ」などの低価格帯商品の展開との関係も考えられる。
この「990円ジーズン」発表があったとき、拙ブログでも指摘させていただいたのだが、この価格では、通常のユニクロとの差別化が難しいと考えるのだ。
ところが、ジル・サンダースとの提携により、
1.ファッション性の高い、高級ライン(H&Mなどと競合できる価格帯)
2.通常のユニクロ、カジュアルライン(ボリュームゾーンで、あくまでも売上主体)
3.990円ジーンズに象徴される低価格帯による、「ついで買い」や「まとめ買い」ユーザーの掘り起こし
と言うコトが、考えられそうだ。
特に1の登場によって、2のゾーン顧客が1に引き上げられる可能性もある。
とすれば、3のゾーン顧客は2へとスライドしていく場合もあるだろう。
そのように考えると、1の登場がユニクロ全体の価格帯を引き上げることが可能になるのではないだろうか?
もちろん、現在のボリュームゾーンである2が、ユニクロの主軸である事には変わりないだろう。
また、1の影響は昨年話題になったH&Mや今後日本に進出予定をしている、同様の企業に対する、対策となるはずだ。

一つ気になることがあるのだが、紹介をさせて頂いたファッション系ニュース記事による、現在ジル・サンダースはオンワードとの関係だ。
ユニクロとオンワードと言う、二つのファッション企業との提携と言うのは、前例が無いように思うからだ。
今後、ユニクロとオンワードが何らかの関係を持つのでは?と言う、コトも気になる。

東京の情報発信力

2009-03-17 12:34:39 | マーケティング
週末、遠出をした行き先は、東京・池袋だった。
池袋に行ったのは、十数年ぶりだったと思う。
丁度バブルが崩壊し、街全体(と言うより、日本全体)が沈んだ雰囲気の頃だった事だけは、今でも覚えている。
そして、久しぶりに出かけた池袋は、日曜日だったと言うこともあり、サンシャインあたりは、人を避けて歩くのも大変なほどだった。
そこは、やはり「東京だな~」という気がしたのだが、何処となく街としての活気があまり感じられないのだ。

「街としての活気」というのは、もちろん人の多さではない。
「情報発進力」というか、「街のワクワク・ドキドキ感」が感じられないのだ。
名古屋の繁華街よりも人が多いだけで、以前感じた「池袋らしさ(具体的に「何?」といわれると、説明しにくいのだが・・・空気感とか町並みなどが、新宿と似たような気がしたのだ)」が薄れているように思えたのだ。
もちろん、「そんなことはない!」と言われる方のほうが多いと思う。
私は十数年ぶりに池袋に行ったのだから、街の印象が様変わりしていても当然だろうし、私自身の持っている印象が、違っている可能性もある。

ただ、最近「東京の情報発信力」が、落ちてきているように思うのだ。
日本の「街づくり」の基本モデルは、おそらく東京だったのではないだろうか?
「東京」という街をモデルに、商業地や住宅地が開発され、日本のある程度の都市規模がある所は「ミニ・東京化」したような気がしている。
反面、「その街らしさ」というモノも、失われてしまったようにも思うのだ。
ところが数年前あたりから、その東京に年に1、2回行くたびに、「東京らしさ」を感じられなくなってしまったのだ。
今でも戦前の下町風景が残る所や、近代的な六本木やシックな街並をつくり続けている青山、東京モダンの象徴である銀座など、魅力的な所がないわけではないし、そのような所から発信されるモノがないわけではない。
それでも、「東京の情報発信力が低下してきている」と、感じるのだ。
もしかしたら、「東京」という全体を感じさせるモノ・コトが、無いからなのかも知れない。

今は、地方の方が「自分たちの街の情報発信」に、積極的な気がしている。
それも「ミニ東京化」に遅れをとった、街が今、発信力を持っているように感じている。
背景にあるのは、インターネットと言う新しい情報発信ツールの登場があるのは、当然なのだが、もう一つあるとすれば、それは「伝統」とか「本質を失っていない」という、コトなのかもしれない。

これから先、東京と言う街は何処へ向かっていくのだろうか?
今の東京は、街としての情報発信力が低下し始めているのでは?
そんな気がした、池袋だった。