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やしきたかじんさんとがん

2014-01-08 18:43:04 | 徒然

関西で活躍をされていた、やしきたかじんさんが亡くなられた。
早期の食道がんが見つかり、テレビ番組などを降板して治療に専念されていた、と言うことだったが、その後、腸閉塞などを発症されていたという。
それでも、一部のメディアからは大阪の繁華街・北新地で飲み歩いている姿などが報道されたりしていた。

亡くなられたたかじんさんは、「自分のやりたいことをやっていただけ」とおっしゃると思うのだが、がん種は違うにしても「がん」と言う病気を体験した側からすると、「がん」という病気と向き合うことが出来なかったのかな?と言う気がしている。
と言うのも、食道がんの要因として上げられるリスクは「喫煙と飲酒」だからだ。
当然、治療となれば担当主治医からは、喫煙はもちろん飲酒も止められていたと思う。

実は、女性と男性とでは「がん告知」後の行動が大きく違う、と言われている。
男性の場合、ネットなどで情報を収集するのと同時に、身辺整理を始めると言われている。
それが女性の場合、夫以外の家族に相談をしたり、自分が加入している生命保険の契約内容を確認した入りする、という。
実は、私も「要精密検査」と言われたその日に、自分が加入している生命保険の契約内容を確認し、契約約款まで読み直した。

そう考えると、たかじんさんにとっても「がん告知→治療」という過程は、常に「がん=死」を意識されていたのかも知れない。
「どうせ死ぬなら、自分のやりたいことをやって・・・」と、思うのも当然だとも言えるし、一般的な「がん治療」の考えを覆す内容の「がん治療拒否、放置の勧め」本が、昨年のベストセラー本の一つだったことを考えれば、やはり「がん=特別な病気」というのが、社会的イメージなのかもしれない。

しかし、がん治療そのものはここ数年で大きく変化してきている。
腫瘍内科医の先生によっては「がんは慢性疾患になりつつある」という程、効果的な治療が受けられる様になってきており。その現実は余り知られていない様な気がする。
上述した「男性が、がん告知を受けた後の行動」にある、「ネットで情報を収集する」と言っても、実はネット検索の上位に表示されるものは「闘病記」か、「○○療法」などという「広告」で、効果が高いと認められた最新の治療情報(=国立がん研究センターのサイト 「がん情報サービス」 )にまで、なかなか辿りつけない、と言うのが現状なのだ。

個人的には、たかじんさんご自身ががんと言う病気と向き合い、元気な姿で再びテレビに登場してもらいたかった。
「がんなんて病気はね、上手に付き合えば普通に生活できるんですよ」と、しゃれっ気タップリに話すだけで、どれだけ多くのがん患者さんやその家族が元気になり、日本の社会全体に対しても「がん」と言う病気のイメージを変えることができたと思う。
それだけに、とても残念な気がするやしきたかじんさんの訃報だ。