日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

CMって何だろう?

2014-09-02 20:43:35 | マーケティング

アメリカで話題になり先月、日本でも話題となった「アイス・バケツ・チャレンジ」。
元々は、難病「ALS」と言う病気を広く知ってもらい、治療・研究などの募金を募る為に始まった「イベント」だったコトは、ご存じの方も多いと思う。
それが、著名人が積極的に参加するコトになり話題性だけでは無く、「イベント」そのものへの疑問符のようなものまでつき始めた。

丁度そんな時、サムソンがこの「アイス・バケツ・チャレンジ」をもじった(?)様なCMを流し、物議を醸している。

Samsung Galaxy S5 ALS Ice Bucket Challenge

このCMだけではなくサムソンは、今年レッドソックスの選手を使ってオバマ大統領との「自分撮りツーショット」写真を宣伝に使ったりして、ホワイトハウスが激怒する、と言う宣伝も行っていた過去がある。
もっとも、サムソンだけでは無く自動車のヒュンダイも、今年のサッカーW杯に引っかけたブラジル国内向けのテレビCMで、ブラジルサッカー協会(?)やFIFAなどから、厳しい注意勧告を受けている。

何も韓国の企業だけの問題ではないかも知れないが、この様なニュースを聞く度に「CMの本質」というコトを理解していないのでは?と言う気がしている。
サムソンもヒュンダイも「売れれば手段は選ばない」という、発想でCMを作っている様だ。
確かに、テレビCMに代表される「宣伝」の目的の一つは、「製品・サービスを売る」と言うコトだが、それよりも大切なことは「企業からのメッセージ」という点だ。

例えば、BMWのCMに「BMWサービス コンセプトムービー」と言うモノがある。
BMWサービス:コンセプトムービー (音声あり)
このCMを見ると、短距離走の選手達が一斉に全速力で走り出し、接戦を繰り広げている中一人だけ出遅れている選手がいる。
足下を見ると何と!サンダル履き。
これでは、いくら素晴らしい選手と言えども、走れません。
と言う内容のCM。
このCMには、サムソンの「アイス・バケツ・チャレンジ」の様な、直接的な内容では無く、ユーモアもありながら「クルマの整備点検は大切ですよ。正規ディーラーで整備点検をして下さい」という、コトを映像で現している。
もちろん、最後には「正規ディーラーで整備点検を」というテロップは出てくるが、CM全体を見るだけでそのメッセージは伝わるし、「整備点検の大切さ」ということも十分伝わってくる。

本来のCMと言うのは、ユーモアなどを交えながら多くの人に「不快感を与えず、的確にメッセージを伝える」というのが、役割のはずだ。
そう考えると、CMと言うのはその企業の「表現力と社会的成熟度」を示す物差しの様な気がする。