日々是マーケティング

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「成長」から「成熟」・・・ソニーの最終決算見通しから考えるコト

2014-09-19 21:06:38 | マーケティング

ソニーが上場以来初めて「無配当」というニュースが、一昨日あった。
当然のコトながら、今期の最終見通しは大幅な赤字になるという。
「日本の家電メーカーの苦戦」と言うのは今に始まったコトではないが、随分苦戦していると感じるニュースだった。
日経新聞:ソニー、上場来初の無配に スマホ減損で今期左右赤字2300億円

ソニーが元気だった頃、ソニーそのものは何を売っていたのだろう?と、フッと考えた。
「世界の若者の生活スタイルを変えた」と言われる、「ウォークマン」。
今から30数年前に登場した「ウォークマン」は、その後の「iPod」を生み出すことになる。
「iPod」はAppleの製品だが、「音楽を持ち運ぶ。好きな場所で好きな音楽を好きな時間にひとりで楽しむ」という、スタイルを創ったのは、「iPod」ではなく「ウォークマン」だった。
その後もソニーが創ってきたのは、「製品=モノ」ではなく「スタイル=コト」だったのではないだろうか?

「スタイル=コト」が日本の市場で注目されはじめたのは、おそらく1970年代~1980年代だったと思う。
丁度「ウォークマン」が登場した頃だ。
「ウォークマン」が登場した背景には、「日本の(家電)市場は、旧来の様な商品に関しては成長してしまった。商品ではなく、生活スタイルなどの「コト」を製品づくりに反映させる必要がある」と言う考えがあった様におもうのだ。
ソニーの新人研修では「タウンウォッチング」があり、「街を行き交う人達の姿から何かを見つける」と研修があると言われてきた。
その様な研修が必要だったと言うことは、日本の市場は1980年代頃には既に「成長」ではなく「成熟」という状況になり始めていて、ソニー自身が感じ始めてたからではないだろうか?

1990年代後半に入り全く新しい「モノ」として、インターネットが登場し、携帯電話とインターネットを融合させた「スマートフォン」した
インターネットの登場と普及は、日本の家電メーカーにとって「青天の霹靂」的ショッキングなコトだったと思う。
なぜなら、これまで「モノ」を提供してきたメーカーは、自由気ままな生活者の「コト」作りをする必要がでてきたからだ。
生活者というのは、実に「気ままでわがまま」な存在でもある。
その生活者の自由気ままな発言が、インターネットなどを通じて瞬時に広く共有される様になってきたからだ。
メーカー側が「コト」を作る時代から、生活者が「コト」を作る時代へと変わったのだ。
それに拍車を掛けたのが、「スマートフォン」の登場だったように思う。

そう考えると、今はソニーが元気だった頃の「メーカーが創るコト」時代から、「生活者が創るコト」時代になってきているのではないだろうか?
「メーカーが創るコト時代」を、「第一次成熟期社会」と考えるなら、今は「第二次・第三次成熟期社会」なのだと思う。
ソニーの経営不振の要因となった、スマートフォンの市場での主導権はソニーではなく、通信会社でもなく、生活者だと思う。
「生活者が喜ぶ」のではなく、「生活者が自由になる」そんな発想が必要なのでは?
それが「今の生活者の思考」という気がするのだ。