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「大阪都構想」住民投票の結果だけに注目してはいけない

2015-05-18 07:45:58 | アラカルト

昨日行われた「大阪都構想」住民投票。
結果は、ご存じの通りだ。
メディアが指摘しているように、「橋下劇場に反対」ということは簡単だが、本当の「大阪の人たちの考え」というのは、それほど簡単に言い切れるモノではないと思う。
メディアの多くは、結果だけを見てあれこれ言っているような印象だが、むしろ気にすべきはその内容だと思う。

投票率が60%を越している。ということは4月にあった地方選よりも興味・関心が高く、大阪の人たちにとっては「身近な問題」だった、ということだろう。もちろん「住民投票」であったことも、大きく関係しているとは思う。
4月の地方選は「自分たちの代表を選ぶ」のが目的だったのに対し、「住民投票」というのは「自分の考えを投票する」という、直接民意を反映させ、社会的影響力を持たせることだからだ。

出口調査による世代別にみると、20代~60代までは「賛成」が多く、70代以上になると「反対」が多くなる。
地域別でも、随分ハッキリと賛否が分かれたようだ。

THE HUFFINGTON POST: 【大阪都構想】南北で賛否がくっきり 住民投票結果

住民投票大阪に住んでいらっしゃる方、または仕事でよくご存じんの方は、この地図を見て「生活者の姿」が見えるだろう。
ここまでハッキリとわかれるということは珍しいと思うし、この「地域差」が今回の住民投票の結果を左右したとも考えられる。
もちろん、男女の投票率も影響と与えたと思う。

それだけではなく、この選挙の結果内容というのは、何も「大阪都構想」だけではなく、もしかしたら今の生活者の「生活思考」を図る意味でも興味深いのでは?と考えている。
というのも、女性や高齢者の反対が多かった、ということを考えると「住民サービスに頼ることが多い人たち」の反対が多かった、とも読み取れる。もちろん、高齢者の投票率の高さが影響した、という部分も考える必要はある。
逆に、地方自治体の財政難が言われるようになってきたことを考えると、「受益者負担」をどう説明し、理解を得られるようにするのか?
また、世代間の不公平感をどうするのか?という問題点も地方自治として考える必要があるだろう。
もっとも「世代間の不公平感」というのは、何も地方自治に限ったことではなく、むしろ国政レベルで考える必要のある問題でもあるとは思うが。

「橋下劇場政治の閉幕」ということは簡単だ。
ただ、なぜ賛否が拮抗し、わずかな差で反対が上回ったのか?というその内容を分析することが、今の生活者の思考が見えてくると思うし、政治としてやらなくてはいけない問題もわかってくるのではないだろうか?

メディアの関心は、橋下さんの政界引退後の国政への影響に移っている。
安倍さん寄りとも言われていた橋下さんの政界引退=維新の会の影響力の低下は、安倍さんの政権運営に影響を及ぼすともいわれている。
「一枚岩ではない」といわれてた野党そのものが、維新の会の影響力低下で、どう動くのか?
野党自身もその行動力や、国民に対しての説得力が求められているように思う。