何かと話題を提供している、米次期大統領のトランプ氏。
「最大の雇用を生み出す大統領になる」と、記者会見で話されたようだ。
ただその記者会見も、自分の分が悪いとなると話をすり替え、相手を攻撃するの繰り返しだったようで、大統領選の頃から「次期大統領」としての認識に疑問を持ったメディアがいまだに多いという話も聞いた。
そのトランプ氏の考える「雇用政策」とは、どのようなものなのだろう?
このところ米国企業、日本企業を含めTwitterで攻撃された企業の多くは、いわゆる製造業が中心だった。
「海外に生産拠点を作るなら、高い関税をかけて米国内で売れないようにしてやる!」風な、Twitterのせいで名指しされた企業の株価が大幅に下落。
結果、名指しされた企業は、海外での生産工場の建設中止や新たな米国内での投資を発表するコトになった。
一連のトランプ氏の発言を聞いていて、思い浮かんだニュース映像があった。
1980年代、日本の製造業が米国で市場を拡大していた頃だ。
米国内での製造業、特に自動車産業は日本の自動車メーカーの市場拡大で、窮地に追い込まれていた。
当然、米国の自動車産業に携わる労働者にとって、日本の自動車メーカーは「憎い」という思いが生まれていた。
そこで、日本の自動車をハンマーなどで叩き壊す、というパフォーマンスが米国各地で頻繁に行われたのだ。
それが家電メーカーにも飛び火し、日本の家電製品もハンマーで叩き壊される、というニュースを見た記憶がある。
それから30年余り。
日本の自動車メーカーだけではなく、家電メーカーも米国に進出し、それなりの雇用を米国内で生んだはずなのだが、立ち遅れた地域がトランプ氏の支持地域と重なる。
しかし30年前のような「製造業」で、雇用を創出するというのは、難しいのではないだろうか?
というのも、製造業そのものがオートメーション化が進み、人の手を必要としなくなりつつあるからだ。
むしろ、これまで製造業の現場の仕事に携わってきた人たちの、新しいスキルを身につけさせるようなプログラムが、必要なのでは?という、気がしている。
実際、今の米国内の平均賃金で、様々な製品を作ろうとすれば、相当高価な商品になってしまうのでは?
とすれば「製造業」中心の雇用ではなく、ITなどの「ソフトウェア産業」や「バイオテクノロジー」等の分野での雇用創出を考える必要があると思うのだ。
そのためには、それなりの「新しいスキル」が必要になる。
その視点無しで「雇用の創出」と言っても、無理があるような気がするのだ。
果たして、トランプ氏はどのような「雇用創出」を考えているのだろうか?
少なくとも、今日の記者会見では具体的な方策は語られず、大統領選での話の繰り返しだった。
具体的な方策を近々に聞いてみたい。
なぜなら、日本にどのような影響を及ぼすのか?で、今年の日本経済の動向が変わってくると想像できるからだ。