Yahoo!のトピックスにも取り上げられているが、トランプさんは「温暖化研究を税金の無駄」と、切り捨てている。
讀賣新聞:温暖化研究「税金の無駄」・・・米政権が方針強調
元々、トランプさんの考えは、石油などの化石燃料を使うエネルギー政策だ。
そのため、カナダからパイプラインの建設促進、という大統領令に署名をしている。
ロイター:トランプ氏、パイプライン建設促進 大統領令に署名
トランプさんの頭の中では、どうやら今でも「エネルギー=石油(と化石燃料)」ということらしい。
しかし、石油産出国であるサウジアラビアの王様が、1,000人の随行員を連れて「脱石油」の為に、日本に協力を求めてくるような時代になっている、ということもまた事実だ。
むしろ石油産出国だからこその、危機感だったかもしれない。
世界全体を見ると「循環型社会」というか、脱石油・脱化石燃料へと変わりつつある。
その時代の変化から逆行するのが、トランプさんらしいと言えばらしいということになるのかもしれない。
トランプさんはそれで満足かもしれないが、トランプさんが掲げる「強いアメリカ」という視点で考えると、どうなのだろうか?
「税金の無駄」と切り捨てるのはたやすいが、他の先進諸国では「循環型社会に適したエネルギー研究」が、ドンドン進められている。
違う言い方をすると、アメリカだけが遅れを取る可能性が高くなっている、ということなのだ。
先進諸国で研究が進んでいる、ということは「国際特許」などの取得によってその国の企業や研究所が、有形無形の利益を上げるコトができる、ということでもある。
それは言い換えれば、「国の経済的強み」を導くことにもつながる、ということになるはずだ。
何も今回の「温暖化研究」だけにとどまらない。
確かに「基礎研究」そのものは、お金にはならないが、「基礎研究」が無くては進展しないのも事実だ。
2000年代に入ってから、日本が医学・生理学をはじめ科学の分野でノーベル賞の受賞者が増えてきている、というのは「基礎研究」が評価されているからだともいえる。
その基礎研究には様々な「国際特許」が含まれていて、その特許料が次への新しい研究の原資となっている部分もあるのだ(これは、名古屋大学の躍進を見ると実感する)。
基礎研究による特許料が、新たな研究を支え、その研究がまた新たな特許を生み出す・・・という「循環」が、生まれるということにもなっているはずだ。
そう考えると、トランプさんの科学に対する冷遇は、米国の産業界全体の未来を暗くさせるのでは?という、気がしてくるのだ。
まして「温暖化研究」の分野は、様々な国が競っている分野でもある。
その分野で「後れを取る」ということは、米国全体の大きなビジネスチャンスを切り捨てている、ともいえるのでは?
「アメリカン・ファースト」を掲げるトランプさんだが、本当に「アメリカン・ファースト」の政策なのだろうか?