6年前の今日、東日本大震災が起きた。
「復興」途中とは言われながらも、時間の経過は容赦なく被災地以外に住む人たちから、震災の記憶を薄れさせている。私も記憶が薄れつつあるその一人だ。
しかし「復興」の目途さえついていない所がある。
東京電力福島第一原子力発電所を中心とした、原発事故により強制退去をさせられた地域だ。
一部地域では、既に解除をされたとはいえ、全ての住民が戻ってきているわけではない。
原発事故により、ふるさとに帰ることを諦めた人達もまた多いのだ。
今日のタイトルを見て「なるほど」と、思われた方もいらっしゃると思う。
再建中の東芝だが、東芝の経営危機を招いたのが「原子力発電事業」であった、ということはご存じの方も多いと思う。
そしてその「原発事業」の中心であった、アメリカの企業・ウエスチングハウス(WH)の法的整理を進めたい意向がある、というニュースが昨日あった。
MSNニュース:東芝原発 米WH「法的整理」加速 将来損失リスク遮断へ
東芝という日本の優良企業であったはずの企業が、膨大な損失を出すコトになった「原子力事業」は、実は東京電力福島第一原子力発電所にも関わりがある。
東芝:原子力事業部 プラント納入実績
実績表の中を見ると、東京電力福島第一原子力発電所、1号機、2号機、3号機、5号機の名前があるの事がわかる。
そのうちの1、2、3号機が、水蒸気爆発をしたのだ。
もちろん、施設そのものの管理・運用についての責任の多くは、東京電力にあることには違いないのだが、いつ収束するとも見当がつかない今の状況から考えれば、東芝もプラント納入事業者として、相当の事故処理費用を負担しているのでは?と思うのだ。
東芝という、企業の再建には原子力事業の切り離しが、最優先と言われてきたが、本当に切り離してしまうことができるのか?
もちろん、WHの法的整理とは関係なく、事故処理は進めなくてはいけないコトだが、原子力事業の一部分は残す必要があるはずだ。
そしてそのための費用もまた、東芝に重くのしかかっているような気がするのだ。
東日本大震災が起き、福島第一原子力発電所事故が発生する前まで、私たちが享受してきた「豊富な電力が与える生活の便利さ」のツケは、やはり私たちの世代が支払う必要があると思う(もちろん、東芝や東京電力に支払うという意味ではない)。
その一方で、最近聞かれなくなってきた「脱原発による自然循環型エネルギー」の普及を進める必要があると思うのだ。
事故処理と事故の収束が全く見えないまま、処理費用だけが膨大に膨らみ続けている、東京電力福島第一原子力発電所事故を考えると、原発の輸出は輸出国にとっても、日本にとってもプラントを輸出する企業にとっても、ハイリスクな事業輸出だと思う。
3.11は、そのコトをまざまざと突き付けたことを、改めて感じるのだ。