日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

今年のお正月広告 「がんばれ、山中先生!」

2018-01-01 17:59:43 | アラカルト

明けまして、おめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

一年で一番厚い新聞と言えば、おそらく今日の朝刊だろう。
ご存じの通り、複数に分かれた編集となっている。
当然、掲載されるお正月広告も違うのだが、本紙と呼ばれる紙面に掲載される広告は、出版社の広告が多い。
その中で、目を引いたのが講談社の広告だった。
講談社:2018年元旦広告
iPS細胞の山中教授が、一面に掲載されている。
そしてコピーは、元旦らしくない内容になっている。
社会に衝撃を与え、ノーベル賞受賞という華やかな話題とは別に、今のiPS細胞研究の厳しい現実が、書かれているのだ。

確かに、米国では前大統領のオバマさんが「精密化治療(=ゲノムレベルでの個別化治療)」の推進を発表し、それなりの予算も投入されているだろう。
そう考えると、iPS細胞の研究やそれに伴う創薬、治療のライバル国は、米国ということになるのかもしれない。
日本でも、京都大学を中心に様々な大学が共同でiPS細胞の研究を進めているが、資金面で厳しいという状況には、変わりないだろう。
そのような状況を伝え、寄付をお願いしたいというのが、今回の元旦広告なのだ。

そしてこの広告を見ながら、本の価格に寄付金をプラスする、という方法は無いものだろうか?と、思ったのだ。
全ての本は無理だろうが、山中教授の著書はもちろん、科学系の新書など出版社が横断的協力の基「ドネーション・ブック」という、新しい寄付のカタチはできないものだろうか?ということなのだ。
多くの本が、委託販売であるという問題もあるだろうし、中古本という市場もあるので、難しい問題かもしれないが、広く継続的な寄付ということを考えた時、すべての本とは言わないまでも、著作者が了解した本について何%とかの寄付(=ドネーション)ができる、という仕組みであれば、寄付という行為そのものの気分的ハードルが、少し下がるのではないだろうか?

iPS細胞が、社会的話題となって10年。
ノーベル賞受賞から6年が経過している。
その研究が、今どれだけ進んでいるのか?という、興味や関心は10年前、6年前よりも無くなり始めていると思う。
しかし、医療の世界では「遺伝子レベルでの個別化治療」へと進んでいる。
その時、カギとなるのが「遺伝子(=ゲノム)研究」であり、その一端を担っているのがiPS細胞でもあるはずだ。
山中先生をはじめとするiPS細胞の研究が、この分野でのフロントランナーになっているのだ。
支援の方法も、いろいろと考えることが大切なのでは?と、考えさせれた元旦広告だ。