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展示型から体験型へ・・・文化庁メディア芸術祭

2018-01-08 20:21:32 | アラカルト

今日、文化庁主催の「メディア芸術祭 愛知展」へ出かけてきた。
なかなか興味ある内容のモノもあり、それなりに楽しめる芸術祭だったと思う。
思うのだが、「で、この芸術祭は何がしたかったの?」という、疑問が残る内容でもあった。
文化庁の公式サイトを見てみると「メディアとアート、エンターテイメント、アニメーション、マンガの4部門において、優秀な作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供する、メディア芸術の総合フェスティバル」ということらしい。

確かに、過去の受賞作品の展示や映像鑑賞などの内容になっていたのだが、なんとなくスッキリしない。
何故なら、マンガの部門で受賞した作品、例えば高橋しんさんの「最終兵器彼女」などのスチール展示がされているだけで、マンガそのものが読めるわけではないからだ。
マンガの表紙だけを見ても、その面白さは伝わってはこない。
同様に、過去話題になり人気となったゲームなどもエンターテイメント部門として展示されているのだが、これも展示されているだけで、実際にゲームができるわけではない。
エンターテイメント部門で2005年に受賞した「ニンテンドウドッグス」や1997年のソニー。インタラクティブエンターテイメントの「I.Q~インテリジェント・キューブ」などは、実際にプレーしてみないと、その面白さはわからないのではないだろうか?

なんとなくだが、この「メディア芸術祭」の趣旨の基となったのは、「クールジャパン」の一つであった「マンガ文化」などを国内外にアピールする、ということなのではないか?。
日本の伝統的な文化ではなく、新しい文化発信をするための一環としての芸術祭ということだ。
そしてそのモデルとなったのは、ヨーロッパの小国・オーストリアのリンツ市全地域で開催されている「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」のような気がしている。

「アルスエレクトロニカ・フェステバル」というのは、芸術(=アート)と最新技術(=テクノロジー)を融合させた作品を展示する、という内容なのだが、大きな特徴は作品に触ることができる、という点にある。
市民(もちろん、観光客も)が作品に触れ、感想を述べることで、その作品そのものがバージョンアップしていく、という仕組みもあるのだ。
結果、バージョンアップした作品は商品化されることもあるようだ。
このような市民が作品に触れる、という場を一つの実験場として活用したドイツの自動車メーカーもある。
一般道での「自動運転車」を、モーターショーではなくこの「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」で、初披露したのだ。

リンツ市のような取り組みは、日本では難しいとは思う。
ただ「メディア芸術祭」というのであれば、市民がもっと自由に作品に触れたり、3DやCG映像のレクチャープログラムなど、体験型のプログラムがあっても良かったのではないだろうか?
過去の受賞作品を展示、あるいは映像鑑賞をするだけでは、実際の作品の魅力は伝わらないような気がするのだ。