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「八丁味噌」騒動ー地域ブランドを考えるー

2018-03-14 20:55:26 | マーケティング

今、名古屋では「八丁味噌」を巡る騒動が起きている。
中日新聞:「八丁味噌」取り消し請求 国のGI登録に岡崎の老舗反発

名古屋に住んでいる方なら、名古屋で「八丁味噌」と言えば、今回のGI登録からもれた岡崎の老舗2社を思い浮かべるだろう。
それが名古屋や岡崎をはじめとする三河地域に住んでいない人からすると、「八丁味噌って、名古屋じゃないの?!」と、驚かれるだろう。
実は、先月母の墓参りの為に帰省した折、父に「最近、名古屋市長が八丁味噌を売りたいと、息巻いているらしい。名古屋の八丁味噌は、美味しいのか?」と聞かれたコトがあった。
何故そんなコトを父が知っているのか?と、いぶかしがると、テレビの情報番組でやっていたらしい。

おそらく、名古屋と三河地域以外の方のイメージは、父と同じように「名古屋めし=味噌の食文化=八丁味噌」と、なっているのだろう。
まして、名古屋市長が「八丁味噌」を売り込んでいる、というのなら、ますます「名古屋の味噌=八丁味噌」というイメージが強くなってしまうのは、当然のことだと思う。
もちろん「名古屋めし」の代表格(?)である、「味噌カツ」や「みそおでん」、「味噌煮込みうどん」などは、「八丁味噌」が無ければ誕生しなかっただろう。
今では、名古屋のメーカーが手軽に名古屋めしが楽しめるように、とつくられた八丁味噌ベースの「調味味噌」も幾つか発売され、人気の名古屋土産になっている。
そのような「名古屋めし文化」を全国区にした、名古屋のメーカーの努力あってのことだと思う。

ただ、今回のような「国のお墨付き」を「八丁味噌」としてもらうのであれば、発祥の地・岡崎の老舗2社を外すというのは、いかがなものだろう。
「名古屋めし文化」を全国区にした名古屋のメーカーの努力とは別に、岡崎の老舗2社も「伝統の製法を受け継いできた」という点で、正当な評価がされても良いと思うのだ。

今の状態では「名古屋VS岡崎」のような話題ばかりになってしまい、本来の「ブランド化」という目的は果たせなくなる。
このようなことは、名古屋のメーカーにとっても岡崎の老舗2社にとっても、プラスではない。
大切なことは「八丁味噌」という味噌を知ってもらい、「食文化としての八丁味噌」のブランド化だ。
「味噌」そのものが、地域・地方によって原料も違えば、使い方も味も違う。
地域・地方を代表する「味」なのだ。
だからこそ、両者が納得できるような解決をしてもらいたい、と思っている。