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「Amazon」の協力金は、何のためだろう?

2018-03-16 22:43:39 | ビジネス

昨日、新聞各紙に「Amazonに公取が入る」という記事が掲載されていた。
TBS NEWS:公取がアマゾンに立ち入り検査、値引き分の補填要求か

公取の立ち入り検査が入るしばらく前から、Amazonの「協力金」という問題が一部で報道されていた。
公取の立ち入り検査は、これらの報道があったことで行われたのだろう、と思っている。

今回の「Amazonの協力金」とは、何のためだったのだろう?という疑問がある。
実際にこの「協力金」が行われるようになったのが、昨年秋からだとすると、ヤマト運輸をはじめとする宅配料金の値上げ分を、Amazonに出店している企業に被ってもらった、ということになると思う。
しかし、一部報道を読んでみると、どうやらそれほど単純なことでもないよだ。

Amazonのサイトを利用して、買い物をされたコトがある方ならご存じだと思うのだが、Amazonには2つの販売ルートがある。
Amazonの倉庫から出荷される商品と、マーケットプレイスから出荷される商品だ。
本などの場合、マーケットブレイスから出荷される商品のほとんどは、いわゆる「中古本」だ。
そのため、送料等は購入者負担になっている。
一方、Amazonの倉庫から出荷される商品の多くは新品が多く、本だけではなく日用品などを合わせて一定額以上を購入すると、送料が無料になる。
ここ半年以上、Amazonで商品を購入していないので、送料無料となる金額は不確かだが以前は2,000円以上だった。

Amazonのサイトでいろいろな商品をまとめて購入することができる、という「通販のプラットホーム」としての仕組みは、購入する生活者側にとっては、メリットが高いと感じている。
「本と文房具、ついでにスニーカー」といった具合に、Amazonというサイト一つで買い物が済むからだ。
それに比べ、楽天やYahoo!の通販サイトは、本、文房具、スニーカーそれぞれ別の出店者サイトにアクセスして、買いたい商品を探さなくてはならない。
この「商品を探す」というのが、案外手間で時間もかかる。
それに加えて、個々の商品を購入する度に送料が発生する、というのは利用者側にとっては「なんだかな~」と、感じてしまう部分でもある。

そう考えると、Amazonが扱う本以外の商品全体の企業に「協力金」を求める、というのであれば「送料分の負担を協力金として求めているのか?」という、生活者からの理解は得られると思う。
それがが日用品や食料品といった特定の商品を扱い企業に「協力金」を求めることに、違和感を感じてしまう。
何より、生活者がAmazonを利用する最大のメリットは、上述した通り「ワンストップのECサイト」という点だ。
そこに、多少の値段の高さよりもメリットを感じている利用者は、多いのではないだろうか?

今回のAmazonの「協力金」は、「Amazonの利益の為」取りやすいところから取ろうとしたのでは?という、印象を生活者に与えてしまったかもしれない。
場合によっては、Amazonという企業が「利己的な経営体質」と感じられる生活者もいるかもしれない。
今の生活者は、「利己的な企業」ではなく「自分も、社会もWIN-WINな関係を創れる(となるべく努力をしている)企業」に対して、より強い好感を持つようになってきている。

今回の「協力金」が、Amazonの赤字補てんなどを目的としている部分もあったのだとすれば、Amazonにとって赤字補てん以上のマイナスとなったかもしれない。