4月に新元号が発表され、5月平成から令和へと元号が変わった。
この元号が変わることで、「新元号ビジネス」と呼べそうなキャンペーンや新商品の告知が相次いだ。
まず、近所のスーパーで見かけたのは明治のお菓子を購入すると「令和クリアファイル進呈」というキャンペーンだった。
しかも4月30日までという、新元号になる前で終了というキャンペーンだった。
キャンペーンではないが、「明治のR-1(という飲むヨーグルト)を、昭和の日に大正駅で飲む」という人達がTwitterで話題にもなった。
他にもサントリーのボスは「平成を振り返る」という意味で、特別編集のCMを1回だけ放送した。
サントリー公式youtube:ボス『宇宙人ジョーンズ・平成特別』篇
このような「新元号ビジネス」の中で、(個人的に)一番目を引いたのは資生堂の「令和元年記念 香水・白粉」の発売だった。
資生堂:令和元年記念 香水・白粉
発売と言っても5月1日からon-lineshopと銀座の資生堂での予約受付で、手元に届くのは12月のようだ。
なぜ目を引いたのか?と言えば、まず広告の美しさだった。
資生堂らしい、アールヌーボーを思わせるイラストや色調。
もちろんフォントもアールヌーボー調で、長い間「資生堂」という企業のイメージをそのまま表現している。
ご存じのように「令和」という元号は、万葉集の「梅の歌」の序文からとられている。
その序文には「梅が咲き、その姿は白粉で化粧をした佳人のようである。」という内容の一節があった。
だからこそ、資生堂は白粉と香水という二品を新元号の記念品として、作ることにしたのだろう。
資生堂のアールヌーボー調の広告表現と「令和」という元号が、よくあっているような気がしたのだ。
それはアールヌーボーが花開いたころ、女性のファッションが大きく変わっただけではなく、女性の社会進出の始まりでもあったはずだ。
そのような背景が感じられるからこそ、(私の)目を引いたのかもしれない。
昭和から平成へと代わる時は、昭和天皇の崩御という悲しい出来事の中だったのに対して、今回の平成から令和は生前退位だったことがこのような「新元号ビジネス」へと結びついたのだろう。
ただ、騒がしいだけの「新元号ビジネス」は、生活者の共感を得られるのだろうか?