朝日新聞に、久しぶりに石破さんの記事が掲載されていた。
朝日新聞:今こそ山陰新幹線が必要だ 石破茂氏、格差への危機感を語る
石破さんの地元である鳥取市と私の実家がある米子市とでは、鳥取県の東と西の外れにある自治体という違いがあるのだが、山陰に新幹線は必要なのか?と、言われると「どうなのだろう?」というのが本音だ。
確かに、鳥取市に行くための鉄道路線となると不便だということはわかる。
以前は京都⇔鳥取間の特急などもあり、関西方面に出ていくことも比較的スムーズだった。
それが民営化になり、京都⇔鳥取間の特急は無くなったように思う。
結果、一旦岡山まで新幹線で行き、岡山から在来線に乗り換えるという地図上では遠回りをするルートになった。
その点を見れば「山陰新幹線」の必要性は、あるのかもしれない。
しかしその発想は、国鉄時代のような「全国に鉄道路線を網目のようにつなげる」という発想のような気がするのだ。
本当に必要なのか?という疑問を持つ他の理由は、関西方面から山陰と結ぶ高速バスの充実がある。
JRの特急の本数は少なくても、高速バスはほぼ1時間に1本程度大阪から出ているのだ。
当然、高速バスのほうが値段的にも安く時間的にもほぼ変わらない。
とすれば、多くの人は高速バスを利用するのでは?
実際、年に2.3回くらい帰省する時に高速バスとJRを半々くらいで利用すると、高速道路が渋滞するシーズン以外では高速バスのほうが便利だと感じることが多い。
石破さんが鉄道ファンであっても、「時間がさほど変わらず、料金が安い」という点では、一般生活者にとっては高速バス利用の方がメリットが高い、ということになると思う。
新幹線を通すということになれば、それなりの採算を検討しなくてはならないことを考えると、ハードルの高い「新幹線誘致」ということになるのでは?
むしろ「高度成長に乗り遅れ、周回遅れ」となった山陰の魅力は、「周回遅れ」によって保護された自然の豊かさと古い地域文化が残っている、という点ではないだろうか?
このような地域だからこそ「時間をかけた旅」のほうが、似合うと思うのだ。
現在途絶えてしまっている京都⇔鳥取間を急行くらいの速さの電車で、「のんびりゆったり、地域の文化に触れながら旅する」とか「ジオパーク体験ツアー」ような提案をしながら、時間をかけ沿線各地に人の乗り降りを誘うようなアイディアのほうが、これからの「旅気分」には合うような気がするのだ。
もう一つあげるとすれば、鳥取に住んでいる方が石見大田方面に頻繁に移動するのか?という点も、疑問なのだ。
石破さんが名前を挙げていらっしゃる特急に、始発駅から終着駅まで乗っているという方は、ほとんどいないだろう。
随分前に、米子から益田まで「特急おき」に乗車したことがあるが、この区間でも人の乗り降りはあっても乗り続けるという人は、いなかったように思う。
確かに「新幹線のある地域」との格差はあると思う。
しかしその「格差」をプラスに転換する智慧が、今の地方に求められているのではないだろうか?