数日前だったと思うのだが、フードデリバリーサービスを提供しているUberEatsのデリバリー担当者が、「受取拒否」をした料理をマンションの共有部分に捨てていった、という話題があった。
BusinessJournal:ウーバーイーツに苦情のオンパレード…配達員が料理投げ捨て→本部は「警察に連絡しろ」
ここ10年ほどで、店舗を持たず料理のみをデリバリーする、というお店が随分増えてきているような気がする。
古いところでは、「ピザの宅配」ということになるとは思うのだが、最近ではお鮨や丼ものなどのデリバリーサービスを、提供するところもある。
Foodist:飲食店によるデリバリーの市場規模は4,0348億円、前年比5.9%増。拡大する出前ビジネス
Foodistの記事にもあるように、この「出前ビジネス」をけん引している一つが、UberEatsだろう。
しかし、ご存じの方も多いように、これまでの料理デリバリーを専門としている企業と、UberEatsとは大きく違う点がある。
料理デリバリーを専門としている企業は、「デリバリーを完了するまで」企業の従業員(アルバイトを含む)が行っているのに対して、UberEatsは外注者がデリバリーを行っている、という違いがある。
この違いが、今回大きな問題となっているのだ。
確かに、届けられた料理の汁ものがこぼれ、他の料理にかかっていたりしたら、食べる気は失せてしまうだろう。
「受取拒否」をしたくなるものわかる。
ただこの「受取拒否」の理由を知ると、昔から出前をしているお店の凄さを感じるのだ。
最近ではほとんど見かけなくなった感があるが、麺類などの出前をお願いするとバネがついて、おかもちなどが水平に保たれるように工夫をされた装備のついたバイクで届けてくれた。
見た目は決してスマートとは言えないかもしれないが、あの装置のおかげで麺類などはほぼこぼすことなく届けられていたのだ。
そう考えると、日本には「汁ものを丁寧に運ぶ」という技術が既にあり、何故UberEatsはそのような装置を持った事業者とデリバリー契約を結ばなかったのか?という、疑問が出てくる。
そこで、UberEatsのサイトを見てみたのだが、デリバリーをする人の募集がトップにあり、会社概要についても米国本社の内容ばかりで、日本の市場を考えたサイト作りにはなっていない。
食文化というものは、その地域や国によって随分違うだけではなく、今の日本には様々な国の料理が食べられるようになっている。
おそらく世界でもトップに入るくらいの、豊かな食文化を享受できる環境にある、というのが今の日本なのだと思う。
とすれば、米国本社よりも遥かに細やかなデリバリーサービスが求められるのが、今の日本の料理デリバリーのビジネス環境なのではないだろうか?
単に、米国のシステムを日本で展開しようとしても、無理があるはずなのだ。
安易なデリバリー事業者を募集する前に、その生活者の意識の違い対応することができないと、生活者から「NO!」と言われてしまう、という認識が必要なのだと思う。