Yahoo!のトピックスにBloombergの「ディズニー、北米で60余りの店舗閉鎖」という、記事が紹介されていた。
Bloomerg:ディズニー、北米で60余りの店舗閉鎖へー世界全体の約20%
ディズニーショップが、全米で60店舗以上あったということは知らなかったが、全世界の20%の店舗閉鎖というのは、随分大胆な削減のような気がする。
ただ、アジア市場に関しては店舗閉鎖はしない、ということのようなので、ディズニーにとってアジア市場、特に日本と中国の市場は「おいしい市場」ということなのだろう。
記事中にある、「ECサイトでの販売に力を入れる」というのは、「コロナ禍」によって店舗販売よりも安定的に売り上げが確保でき、より売り上げが伸びるのでは?という期待があるのだと思う。
そしてこのような実店舗からECサイトへの移行と検討しているのは、ディズニーだけではないはずだ。
特にアパレルなどは、ECサイトでは実店舗よりも安価な価格で商品が購入できる。
例え送料を加えたとしても、ECサイトのほうが安価である、という傾向にあると感じている。
その一方で、ECサイトではトラブルが付きものだ。
「思っていたような素材感ではなかった」とか「サイズが合わない」等のトラブルは、日常的に起きているだろうし、レビューを見てもそのような内容は多い。
このような問題を解決していくことが、ECサイトに求められ続けるはずだが、ディズニーのように既に「ブランド力=生活者からの信頼がある」があり、ECサイトで販売されているモノも、おおよそ想像ができるような商品であれば、ますます実店舗販売から撤退していく可能性は高い。
何よりディズニーの場合、「ディズニーランド」というアミューズメント施設があり、その施設内の実店舗で買い物をする人達は多い。
他にも、実店舗にかかる費用をカットして、「ディズニ―テレビ」や世界的に人気の高い映画などに力を入れ、「総合エンターティメント企業」へと転換していきたいという思惑があるはずだ。
そう考えれば、ディズニ―の実店舗の撤退というのは、自然の成り行きということも考えられる。
むしろ、実店舗を利用していた人たちは、どのような人たちだったのか?と、考える必要があるだろう。
全ての購入者ではないと思うのだが、ある一定数で「ディズニーランドに遊びに行けないけど、ディズニーグッズは欲しい」という購入者がいるのでは?という気がするのだ。
そのような人たちにとって、実店舗で商品を手に取り購入する、という一連の行為は「ディズニーランドには行けないけど、少しだけいった気分になれる場所」だったのではないだろうか?
広大な米国で「ディズニー」という名の付く施設は、ロサンゼルス郊外にあるアナハイムとフロリダのオーランドの2ヵ所だけだ。
どちらの「ディスニー」へ行きたくても、なかなか行くことができない人達がいる、ということは想像することはできる。
そのような人たちにとって、実店舗の存在は大きかったと思う。
今のディズニーであれば、そのような人たちに対して「バーチャルなディズニーを楽しみながら買い物ができるECサイト」をつくり、顧客をつなぎとめるということくらい簡単なことかもしれない。
だからこそ、米国内60店舗、全体の20%という大規模な実店舗の閉鎖に踏み切れるのではないだろうか?
上述したように、アパレル業界だけではなくおそらく百貨店業界なども、同様の選択が迫られる日が来るかもしれない。
その時「何故人は実店舗で買い物をしていたのか?」という、生活者の動機となることをシッカリと受け止める必要があると思う。