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「個人が判断」と「新しい生活様式」

2023-02-20 19:42:00 | アラカルト

「新型コロナ」が2類相当から5類相当へと分類が変わる、ということが決まった。
ご存じの通り、変更は5月6日からで、GWが終わった頃ということになっている。
その前の来月の13日からは、「マスク着用については、個人の判断」ということも決まっている。
この報道を聞いた時、「国は都合よく『個人の判断』ということにしたな~」という、感想を持った。
というのも「新型コロナウイルス」の感染拡大が懸念されるようになった頃、政府自ら国民に向け「新しい生活様式」というお願いを新聞やテレビなどのメディア各社を通じて、国民に広く訴えたからだ。

「新しい生活様式」の時には、大々的に国民へお願いをし、これが実質的な国民が揃って行う「新型コロナ対策」の基本となっていった。
そこで登場したのが「マスク警察」と呼ばれる、マスクを着用していない人に対する徹底的な圧力だった。
「警察」とは言っても、一市民の行動でしかないのだが、メディアなどで「マスクをしていない人」に対する圧力が、日に日に強くなりそれが世論形成へと繋がっていった、という気がしている。
あくまでも、個人的な印象ではあるのだが。

それから3年余りたち、「新型コロナウイルス」そのものがある程度判明して来たし、ワクチンや経口薬などが開発されたこともあり、やっと2類相当から5類相当への変更が決まった。
個人的には「新しい生活様式」の変更があるのか?と思っていたのだが、政府の出した答えは「3月13日以降、基本マスク着用は個人の判断」というモノだった。
あれほど「新型コロナウイルス」が、拡大し始めた頃は新聞やテレビなどのメディアを使って、大々的に「お願い」をしていたのに、今回の「個人の判断」というのは、そっけないというか力が入っていないような気がするのだ。
諸外国が、マスク着用を取りやめてから1年ほど遅れ(中国は除く)、感染者数などの統計を取らない国々も増えている中であっても、毎日感染者数と死亡者数を都道府県ごとに発表し続け、「だから感染拡大防止のために、マスクを着用しましょう」という、社会的雰囲気を作り続けていたのに、今回は「個人の判断」というのは、いかがなモノだろう?

そもそも3月12日と3月13日という日にちの連続の中で、感染状況が大きく変わるわけではない。
これまでも拙ブログでは「データを基にした客観的な判断」の重要性を、言ってきたつもりだ。
感染者数ではなく、感染率などを基にした「新しい生活様式の見直し時期」というモノを、先に示す必要があったのではないだろうか?
確かに、次々と登場し続けている「変異株」の問題はあるのだが、その「変異株」の傾向は「感染力は強いが、重症化率は低い」ということで、ほぼ共通認識されていたのではないだろうか?

おそらく今後も、「感染の波」は起きるだろう。
ではその「感染の波」に対して、政府はどう考えているのか?
「個人の判断」というのであれば、「政府の判断基準」となるモノを示してくれれば、「個人の判断」はもっとしやすく、スムーズになり「新たなマスク警察」を生み出す事もないはずだ。
大切なことは、「マスクを外す日にち」ではなく、「マスクを外す基準」なのではないだろうか?