日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

進化する日本の自販機

2023-05-15 15:19:15 | ビジネス

今朝、FM番組を聞いていたら「日本の自販機、凄い!」という話題があった。
それは、「CO2を資源化する自販機」の実証実験という、話題だった。
アサヒ飲料:国内初、CO2資源循環モデルの実証実験6月より開始 

アサヒ飲料のプレスリリースのタイトルは、もっと長いので省略させていただいたのだが、ご存じのように今やCO2 削減は、世界的に取り組まなくてはならない問題となっている。
SDGsの取り組みの中でも、この「CO2削減+循環型社会」は、取り上げられている。
この自販機の発想が面白いのは、これまでのような「CO2排出量を減らす」のではなく、「CO2を回収し、資源化する」という点だ。
「CO2問題」については、「排出させない、森林資源などによる削減」などが、これまでの主流の考え方だった。
最近では聞かれなくなったが「カーボンオフセット」と言われる、「CO2の排出量を自然環境保護事業などに投資する」という方法が、主流だった。
とはいえ「カーボンオフセット」そのものは、「CO2削減」への直接的社会行動ではないので、今は主流ではないのかもしれない。

そのような「減らす」という考え一辺倒だった「削減策」に、「資源活用」という新たな考えが登場したのだ。
大袈裟な言い方だが、一種の「パラダイムシフト」のような印象すら受ける。
それが、日本の飲料水メーカーが行おうとしている、という点でもっと注目されるべきことのような気がする。

ところで、日本人の生活に重要な「商品購入の機会」となっている「自販機」だが、海外の「自販機事情」と、随分違うと言われている。
今から20年余り前、日本で開催されたサッカーW杯。
この時、数多くの外国人サポーターが来日した訳だが、来日した外国人サポーターが驚いた一つに「自販機」があった、と言われている。
一つは、「自販機が扱う商品の多さ」。
もう一つは「街のあちらこちらに自販機が設置されている」という点だ。

今では、電子マネーで自販機の飲料水を購入することが可能となっているが、20年前はそのような機能はなかった。
全て現金での購入だった。
その為、来日した海外のサポーターの一部からは「自販機が数多く設置されているけど、現金を入れる箱が設置されているのと同じ」という、感覚だった、ということがまことしやかに言われていた。
確かに、一時期「自販機内にある現金」を狙って、バールなどで壊すという事件が数多く発生した。
バールなどで自販機を破壊し、中にある現金と商品を持ち逃げする、という器物破損と窃盗の事件だった。

そのような事件が多発する中、「日本の自販機」は独自の進化をしている。
例えば、災害時には無償提供する自販機、フードロスに対応するための賞味期限が迫っている飲料水を集め、安価に提供する自販機などだ。
アサヒ飲料のプレスリリースでは「国内初」となっているので、既に海外では運用されているのかもしれないのだが、海外での「自販機」の普及を考えると、社会的影響が大きいのは日本なのでは?という気がしている。

様々な理由で、日本の自販機は独自の進化をし続けており、ある意味「自販機のガラパゴス」という状況のような気がしている。
だからこそ、このような実証実験が成功裏に終わって欲しいし、それが海外で普及する事を願っている。