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「ステークホルダー民主主義」という企業と株主の関係

2023-05-25 20:58:46 | ビジネス

「ステークホルダー民主主義」という言葉をご存じだろうか?
今朝FM番組を聞いていた時に、耳に残った言葉だ。

そもそも「ステークホルダーと企業の関係性」という点を、十分理解する必要がある。
ステークホルダーとは、企業に対して何等かの利益関係がある。
企業内で働く従業員だけではなく、従業員家族や取引先、顧客はもちろん株主も含まれる。
「ステークホルダー」とは、企業を取り巻く全ての人々、と考えるとわかりやすいと思う。

その中で、企業経営に対して発言権があるのが「株主」ということになる。
バブル経済が崩壊し、その後外資系投資家が日本の企業の株を買い占め、株主総会で紛糾した、ということが起きたことがあった。
その後「モノ言う株主」と言われる、投資家が登場する。
旧村上ファンドなどは、その一例だろう。

この時の「モノ言う株主」は、「企業は、株主に対して最大限の利益を考えるべきである」という主張がされていた。
すなわち「企業活動は、如何に企業利益だけではなく株価を上げる努力をし、株主に還元するべきである」という、考え方だ。
このような考え方は、平成と呼ばれる時代には当たり前のように言われ、一部では「企業は株主の為に企業活動をすべきである」というような、コトまで言われたことがあった。

このような「株主利益」ばかりを求めると、企業の本来の目的である「社会における企業活動」を見失い、従業員や取引先、社会に対しての関心が無くなってしまう。
このような「株主優先主義」の考えは、企業活動の足枷になってしまっていたし、本来与えられるべき「ステークホルダー」に対しての利益を与える事が出来なくなっていったと、考えても良いと思う。

このような「株主優先」の考えから、一歩進んだ違う「モノ言う株主」の考え方が、「ステークホルダー民主主義」だと言われている。
毎年6月に開催されることが多い企業の株主総会で、「企業活動に合わせた社会貢献を提案する」という、株主たちだ。
例えば、教育関連の企業であれば、「一人親世帯に対する教育サポートプログラムができないか」という提案をしたり、食品会社であれば「フードロス問題と貧困世帯に対する両面の問題解決をどう考えているのか?」といった、問いかけを株主総会で行う、ということだ。
「株主の利益」ではなく、「株主として発言権があるからこそできる、社会貢献策を問う」という考え方だ。

これからの株主は、株主の利益だけを求めるのではなく、企業の社会貢献を問うことで、如何に企業価値を高め、その結果として社会を豊かにしつつ株主利益も得る、ということが求められるようになってくるかもしれない。
もちろん「株主の利益優先」を求めることが悪いわけではない。
しかし元々株主となるきっかけの一つが「投資する企業を応援したい。安定的経営によりより発展した企業活動をしてほしい」という、思いがありその企業に投資したのではないだろうか?

それが「デイトレーダー」と呼ばれる、短期に株を売買するコトで利益を得るのが「株式投資である」と、思い込まれてしまったことで、「株=金儲け」という部分だけになってしまったような気がする。
そのような考え方を否定することなく、新しい株主のスタイルとしての「ステークホルダー民主主義」は、本来の株主の姿のような気がする。