ネットニュース等で少し話題になっている、34年前に米国で制作されたペプシのCM。
Huffpost:マドンナさん、放送2回で中止された出演ペプシCMが34年ぶりに再放送。「ようやく才能に気づいてくれた」と反応
34年前というと、丁度「Live Aid」で世界中の若者を熱狂させ、マドンナの人気が決定づけられた後、ということになるくらいの頃だろう。
この頃のマドンナの勢いはとにかくすさまじく、初来日をしているのもこの頃だったような気がする。
リンク先の動画を見ても、何故このCMがわずか2回の放送で中止させられたのか、疑問を感じる内容だ。
それは34年という月日が過ぎ、価値観が変わったからというのではなく、この内容であれば当時でも問題はなかったのでは?という、印象だ。
しかし、記事を読み進めていると、実はCMが問題であったわけではなく、マドンナがリリースしたアルバムからのシングルカット曲のMVに問題があり、マドンナが出演している媒体に対して、圧力がかけられた、というのが本当のようだ。
記事にもあるが、十字架を燃やしたり、スリップドレスを着て煽情的なアクションを教会でする、というのは確かに、キリスト教の団体からクレームがきてもおかしくはないだろう。
日本でも昨年、政治と宗教の問題が起きたが、それは違う意味で米国での教会の力は強く、巨大なモノだと言われている。
理由は改めて述べる必要もないと思う。
キリスト教という宗教をベースに生活文化が作られてきた国が、米国をはじめとする欧米諸国だから。
今でも大統領選挙を左右するのは、「福音派」と呼ばれるキリスト教の一派であると言われている。
この「福音派」の信者をいかに獲得するのか?で、大統領選の行方が決まると言っても過言ではない、というのがこれまでの大統領選でもあった。
大統領選にまで影響を及ぼすほど、キリスト教は米国文化の根本だとすれば、このようなMVは宗教関係者以外であっても不快感を持つだろう。
まして今から34年前の話だ。
CMとは関係がないとはいえ起用したタレントのMVが、このような内容であれば、今よりも激しい、ボイコットがあってもおかしくはない(と、想像できる)。
ペプシのような飲料水メーカーであっても、生活者からの商品ボイコットが起きるということは、怖いモノなのだ。
まして相手は、米国の大統領選を左右する団体を中心に、米国文化を創ってきた宗教団体なのだ。
ペプシのように、宗教や思想等を問わずにファンがいるからこそ、中止という判断をせざる得なかったのだろう。
そして34年という時間の経過は、人種差別が根強く残っている地域があるとはいえ、表面上は差別的なことが禁じられるようになり、逆に人種やLGBTQの人たちに対する差別的なことがあった事実を受け入れなくてはならない、ということになってきている。
その反省という点で、再放送ができるようになったのかもしれないし、主人公であるマドンナ自身が当時ほどの人気を獲得していない為、社会的影響が少ないと考えたのかもしれない。
もしかしたら、マドンナが現在英国で生活をしている、ということも関係しているかもしれない。
これらはあくまでも、私個人の想像の部分だが、国の文化によって、「CM打ち切り」の理由がそれぞれ違うのだな~と、改めて感じたのだった。