ファッション専門誌、WWDにファッションとは関係のない話題がピックアップされていた。
WWD Japan:「モス越」が9月6日オープン!三越銀座店が「モスバーガー」を指名した理由
9月6日ということは、今日から期間限定で「モス越」がオープンしたということになる。
「モス越」で販売される、ハンバーガーはファーストフード店で提供されるような感じのものではなく、どちらかと言えば米国の「ホームメイド系ハンバーガー」という、印象だ。
と言っても、私が知っている米国の「ホームメイド系ハンバーガー」は、40年位前に米国で食べたっきりなので記憶としては定かではないのだが、バンズと呼ばれるパンに、パテがこじんまりと挟まれている従来のハンバーガーのイメージとは随分違っていて、バンズからはみ出たパテと野菜があふれんばかりに皿に乗っていて、ナイフとフォークで食べた記憶がある。
掲載されている写真を見ると、手を汚さないようにワックス紙には包まれているが、バンズに挟まれているパテなどの具材はあふれんばかりだ。
このような盛りだくさんな具材を提供できるのも、期間限定とはいえ三越という百貨店とのコラボ企画だからだろう。
街中にあるモスバーガーの店舗で、このような商品を提供するには、価格的にも店舗の雰囲気やお客様の回転率などを考えても、難しいだろう。
むしろ「百貨店」で「銀座」という場所だからこそできる企画、と言っても過言ではないと思う。
そして興味深いのは、三越側がモスバーガーを選んだ点だ。
というのも、日本で初めてファーストフード店・マクドナルドを開店させた場所が、三越銀座店だったからだ。
マクドナルド:日本マクドナルド50年の歴史
おそらくこの時の出店理由の一つが、「歩行者天国」だったのでは?と、想像している。
ご存じの通り、「歩行者天国」は大通りに車の進入を止めさせ、自由に人が歩くようにしていた。
週末の「歩行者天国」という場であれば、作りたての食べ物を手軽に食べたりできる場所もあった。
パラソルの下、簡易テーブルとイスが容易されていれば、外で食べても行儀が悪いとは言われずに済んだからだ。
そして「歩行者天国」が、全国に広がるようにファーストフード店も全国へと広がっていったような気がする。
記事の中で注目すべき点は、やはり「三越がモスバーガーを選んだ理由」だろう。
上述した通り、マクドナルド日本1号店は、三越銀座店だった。
その後、マクドナルドは三越銀座店から撤退しているにせよ、代わりにライバル企業であるモスバーガーを選んだ、ということに注目すべきだと思う。
そして「記事中にあるコトだけだろうか?」という、疑問のようなモノもある。
全国展開とまではいかなかったようだが、10年ほど前「モスバーガー」は「ミスタードーナッツ」と、共同店舗という形態で展開をしていたコトがある。
その名も「モスド」だったように記憶している。
このようなコラボができたのは、どちらも「店舗内調理」を重視しているからだろう。
チェーン店なので、「店舗内調理」と言ってもマクドナルドと大差ないだろう、という気がするかもしれないが、モスバーガーの場合使う野菜などの食材は店舗に比較的近い産地のモノを使っている。
このような「使用する野菜などの地産地消」は、ここ数年のコトではなく随分前から実施しているはずだ。
それが、子育て世代の女性に「安心感」を与えているのだろう。
モスバーガーは、以前から子育て世代の女性に人気が高い。
この「子育て世代の女性からの人気の高さ」もまた、三越がモスバーガーを選んだ理由のような気がしている。
というのも、子育て世帯にとって買い物などに行く優先順位としては、大型スーパーがあるショッピングモールの方が高いと、思われるからだ。
当然銀座のような場所には、子ども連れでは行きづらいだろう。
「モス越」のようなメニューを子供連れのお客様が、価格を含め選ぶとは思えないが「銀座に行く」という心理的ハードルが、下がるような気がするのだ。
ただ、爆買いインバウンドによって、かつてのような銀座の風情が失われつつある今、様々な世代の人たちを「銀座に呼び戻す」という仕掛けの一つのようにも思えるのだ。
「銀座」だから認められる価格と商品、そしてサービスの提供によって、「(日本人の中間層家族が)おしゃれをして出かける銀座」復活のきっかけづくのようにも思えてくる。