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来春のファッショントレンド

2023-11-23 20:44:40 | マーケティング

久しぶりに、ファッション専門サイトWWDを見ていたら「2024年春夏コレクションから見る、ファッショントレンド」のまとめがあった。
WWD:2024年春夏トレンドブックは、今シーズンも100を超えるブランドから気になる傾向をまとめ 

ファッション業界とは関係のない人にとって、このようなトレンド分析は「何が何だか???」という、感覚にとらわれると思う。
まして、パリコレ等のランウェイに登場する「あの服を、着る場所や鴇はあるの?」と思われる方も多い。
実は、ブランドが発表するコレクションのうち、実際に商品として販売されるモノは、3割程度と言われている。
勿論、ミラノコレクションになると、もっと現実的に着ることができる内容が多い為、商品化し販売されるモノはもっと多くなる。
おそらく、アルマーニなどはコレクションの8割程度は、店頭で並ぶのではないか?と思っている。

では、ファッション関係者だけではなく、トレンドを意識しなくてはならない分野の人たちは、何を見ているのか?と言えば、服のラインやバッグや靴等の小物との色調合わせやデザイン合わせ等に注目していることが多い。
例えば、レディースウェアの中でスーツ等のビジネス向けの内容が増えている、となれば「働く女性を意識して、キャンペーンを犯が得る」と言った感じだ。
その中でも、肩ラインが強調されているとすれば、女性の意識が外に向き始めるようなアプローチが必要かもしれない。
逆にアルマーニが得意とする「スラウチ」と呼ばれる、なだらかな肩ラインが増えていれば「内省性や自分らしさを求める」傾向があるのでは?と、考えることもある。

他にも、1960年代のようなノスタルジックな印象のデザインが増えていると感じれば「復古調」というだけではなく、その当時の社会的雰囲気を生活者が求め始めているのでは?という、感覚で見るとそれまでとは違う社会が見えてくるはずだ。
実はこの1960年代のファッションについては、今年の春頃からSNS等で話題になり始めている。
例えば、高校生のお嬢さんが、おばあちゃんの若いころの服を「カッコイイ」と言って、譲り受けた。とか、1960年代の婦人雑誌の付録としてついてきていたソーイングブックを見ながら、自分で洋裁をするというYouTubeが話題になったりしていたからだ。
これを暗に「復古調」と括るのではなく、「何故その頃の服を見て、素敵だと思うのか?」というところまで掘り下げることが重要なのだ。

ファッショントレンドと生活者の意識は、別物とみるのではなく、日々の暮らしの中にある「服」を、その時々の生活者の表現だとみれば、まったく違う見方ができてくる。
今ほど、既製服が一般的ではなく、多くの若い女性が自分で服を仕立てたり、テーラーメイドで服を作ってもらっていた時代は、今ほど生活者は服を持っていなかった。
代わりに身に着けたのが「着回し」であったり、「コーディネートセンス」であったりしたのだ。

最近YouTube等で「仕立て直し」の動画をupする若い人達も増えてきている。
仕立て直しどころか、古民家を買いDIYするという動画をupする若い世代も多い。
それを単純に「経済成長」と結び付けるのか?はたまた「生活者の意識変化」ととらえるのか?で、その動画から感じることが、大きく変わってくる。
そのとらえ方の違いと、生活者の意識変化の一つの現れをファッションという視点で考えている、とみればWWDのレポートの読み方も変わってくると思う。