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地方の観光資産とは?

2023-11-13 22:48:25 | マーケティング

昨日、独居老人の父の介護の為に、帰省した。
新幹線から、岡山駅で伯備線に乗り換えたのだが、日曜日の午後の自由席でも余裕をもって座れるはずの「やくも号」なのだが、何故か乗り換え駅の岡山駅で行列ができている。
それも、これまでに体験したことが無いほどの人数の海外からの観光客が、並んでいるのだ。
これまで数十回以上利用していると思うのだが、これほどの海外からの観光客を見たのは、初めてだったと思う。

確かに、今月は出雲地方は「神在月」となり、日本中の神様が大集合する月でもある。
その神様たちが集まる「神迎えの神事」は来週のはずだ。
出雲観光ガイド:出雲観光ガイド【神在月】スケジュール 

今でも勘違いをされている方がいらっしゃるのだが、「出雲における神在月」というのは、旧暦の10月のことなので、現在の暦では11月ということになる。
その為、出雲観光のメインイベントは11月ということになるのだ。
今回のように、海外からの観光客に「出雲の神在月」が、知られているのか?というと、疑問だ。
それだけではなく、今回同じ車両に乗車した海外からの観光客は英語圏の団体客ではなかった、団体の中に知的ハンディがあるのでは?と、感じられる参加者がいた、ということもまた驚きの一つだったのだ。

そのような動きを受けてという訳ではないと思うのだが。鳥取砂丘近くに外資ホテルの開業予定という記事が、産経新聞に掲載されている。
産経新聞:1泊6万円以上、鳥取砂丘に「五つ星ホテル」米マリオットの狙いと課題 

記事を読むと、米国を中心の富裕層を宿泊対象としているようだ。
富裕層とは言え、鳥取砂丘だけで1泊6万円以上という宿泊費は、高額のように思える。
日本の多くの旅行は、観光地巡りを詰め込んで、いかに効率よく数多くの観光地を回るのか?ということを旅行プランの中心となっている。
実際、様々な旅行代理店が広告しているツアー内容は、観光地巡りとグルメだ。
その視点で考えれば、1泊6万円以上で著名な観光地らしきものと言えば、鳥取砂丘と出雲大社位しか思い浮かばない人達にとっては、高額で海外の富裕層を対象としているとしても、価格設定が高すぎるのでは?と、感じると思う。

おそらく、富裕層の中でも日本での旅行のリピーターで、既に京都のような日本の有名観光地へは何度も行っている、という人達であればより「日本的な風景」であったり、「日本の地方でなくては体験できないコト」と言ったコトを求めるのでは?と、考えるのだ。
その視点で考えると、高度経済成長に乗り遅れてしまった山陰という地域は、今でも「日本の原風景」が数多く残っている。
現在は、関西から直接山陰まで運行する列車は無くなってしまっているが、観光列車の「銀河」のように運行ルートを季節毎に変更できる「自由運航」のような列車であれば、ユネスコ世界ジオパークをめぐるようなルート運行も可能になるだろう。
なぜなら、観光の目的は「日本の風景」だからだ。

もう一つ今回の「やくも」で乗り合わせた海外からの観光客の団体が教えてくれたのは、「ハンディのある人も楽しめる旅」の提案だ。
日本の原風景に溶け込むように、街中を散策するにしても、様々なハンディの有る人達も楽しめる配慮、という考えも必要となってくるだろう。
何故なら、何度も日本観光を体験している海外の富裕層は、「その場所に行かなくては体験できないモノ・コト」を求めているからだ。
とすれば、マリオットホテルの1泊6万円以上の価値を生み出すのは、ホテルのサービスではなく、地元の人たちなのではないだろうか?