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ダイハツの不正事件に思うこと

2023-12-26 21:25:11 | ビジネス

ダイハツの不正が発覚して、数日たった。
ダイハツという企業に対する不信感は、高まるばかりだがその一方で「自動車メーカーの寡占化」を指摘する方もいるようだ。
確かに、ダイハツの不正が始まったのは、34年も前から始まった、という事実もあるのだが、その一方でトヨタ自動車との軽自動車分野でのOEMが、始まった頃から急激に増えたという指摘もあるからだ。
ITMedia ビジネスon-line:「ダイハツが34年も不正していた」と聞いても「でしょうね」としか感じないワケ
Smart FLASH:なぜトヨタグループで問題が続発するのか・・・ダイハツ、日野、自動織機に続き米国トヨタでも100万台リコールの惨状

実はこの指摘を聞いた時、「さもありなん」と感じたのだ。
トヨタ自動車は、別名「トヨタ方式」と呼ばれる生産方式をとっている。
「トヨタ方式」というのは、徹底した合理化と生産管理だと言われている。
このような考え方の製造方式で、戦後の日本の高度経済成長期を支え、バブル経済崩壊以降も持ちこたえるだけの力を蓄えることができた、ということについては、異論がないのではないかと思う。

その反面、「納期の短縮化」や「孫請け、曾孫請けに対する歯列な価格叩き」という状況も起きている。
その結果という訳ではないのだが、日本人一人当たりの生産性は、年々下がり続けていてG7の中で、遂に最下位になってしまっている。
TBS News :日本の1人当たりの名目GDPがG7最下位 円安響く 

記事にある通り、円安の影響は少なからずあると思う。
その反面、以前エントリをさせていただいた「歴史から学ぶ」と、実は現在の日本は1ドル360円位に落ちている、という指摘もされていた。
1ドル360円というのは、戦後日本が「固定相場制」で貿易を行っていた50年位前の話だ。
当時は、日本が高度経済成長期で、経済だけではなく社会全体も活気があり、サラリーマンの給与も急激な勢いで上がっていっていた時代だ。
その頃の製造業の中で生まれた生産方式が「トヨタ方式」だと言っても過言ではないと思っている。
「乾いたぞうきんをまだ絞りつくして、利益を生む」そのような考え方があったからこそ、日本は「高品質で低価格」の工業製品を世界に売り出すことができたのだ。

しかし、今の日本にはそれだけの活気もかければ、経済力もない、というのが実情だ。
とすれば、「トヨタ方式」が本当に良いのか?ということになる。
その一つの答えとして「現場を把握していない上司」という存在があるように感じている。
毎日新聞 経済プレミア: 「上司に相談しても意味ない」ダイハツ不正の悲しい現実 

特に現在の自動車メーカーの寡占化のような状況になると、「現場を知らない上司」は生まれやすい環境になる。
何故なら、母体となるモノが大きすぎて「経営者側を見て仕事をする」傾向が表れやすいということと、「責任の所在が現場に押し付けられやすい」という状況に陥りやすいからだ。
別名「大企業病」と呼ばれるモノだ。

そう考えると、今回のダイハツの不正事件はとても残念なことではあるが、ダイハツにとって大きく変革を起こすチャンスとなるかもしれない。
それは「利用者にとってのダイハツ」というクルマづくりを考える、リスタートととらえることもできるからだ。
決してポジティブな状況ではないが、「高品質だからこそ高くても納得できるものづくり」をしていく時代を切り開いて欲しいと考えている。