日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「ブランド」マネージメント

2023-12-21 20:17:19 | マーケティング

今月はボーナス支給月でもある。
公務員や大手企業の多くは12月10日頃が支給日だったはずだ。
日頃節約を心掛けざる得ない状況の生活者にとって、ボーナス支給というのは「家計が一息つける」という感覚もあるのでは?と、想像している。

そのボーナスが支給されないとして、話題になった企業がある。
若い女性向けアパレルブランドの「サマンサタバサ」だ。
一時期は、高校生~20代前半のOLさんたちが、サマンサタバサの服やバッグ等を持ち歩いているのが、当たり前だった。
理由は、価格帯が比較的安く、デザインもカワイイ、ということだったような記憶がある。
他にあるとすれば、百貨店ではなくショッピングモールに出店していた、ということも人気となった理由の一つかもしれない。

この「サマンサタバサ」の話題より少し前に話題になったのが、ジュエリーショップ「4℃」だ。
昨年だったと思うのだが、敬宮愛子内親王殿下のお誕生日動画で身に着けていたネックレスが、「4℃」のものではないか?と、話題になったのでブランド名を覚えている方もいらっしゃるかもしれない。
実際に身に着けていらっしゃったのは、4℃のモノではなかったようだが、この話題で日頃若い女性向けのジュエリーに興味のない人にまで、ブランドが知れ渡ったのでは?という、気がしていたのだが、現実はそれほど優しいモノではなかったようだ。
ITMediaビジネス:なぜ「サマンサタバサ」はここまで追い詰められたのか「4℃」との共通点 

ジュエリーショップ「4℃」は、日本のジュエリーショップの中でも決してハイブランドな位置づけのショップではない。
どちらかと言えば、カジュアルな部類だろう。
その為、リンク先の記事にあるように大学生くらいの男の子が、彼女にプレゼントするには値ごろ感がよく、デザインもカワイイという点で、「外しがないプレゼントブランド」として人気があったことも確かだ。
ただ「外しがないプレゼントブランド」という側面ばかりが強調されると、それもまた違う気がするのだ。
それは購入の中心は、若い男性ではなく、若い女性だったはずだからだ。

「コロナ禍」以降、私自身も実店舗に行ってはいないので、はっきり言えないのだが、「サマンサタバサ」にしても「4℃」にしても、若い女性がファッションブランドとして初めて出会い、購入をする、という部分が強かったのでは?という印象を持っていたからだ。
「若い男性にとって、外さないプレゼントブランド」となったのは、贈る相手の女性が好んで読むファッション雑誌等で、度々紹介されていたからだ。
逆に言えば、上述した「若い女性が初めて出会い・購入するファッションブランド」ということになる。

その若い女性の人口が減りつつある中、同じような戦略でブランドマネージメントをしていたとすれば、先細っても仕方ないだろう。
むしろ「ファーストブランド」という位置づけで、ブランドマネージメントを考えていれば、「ファーストブランド」として体験した生活者の成長に合わせたブランド展開を検討する必要があったのでは?

確かに日本の女性は「永遠の少女」的な、乙女チックなモノ・コトが世代を問わず好きな傾向がある。
しかし高校生だった女の子は、いずれ社会人となりキャリアを積み、家庭との両立で悩むようになる姿がある程度想像できる。
その時、ファーストブランドとして出会ってくれた彼女たちの成長やライフステージに、どう寄り添えるブランドになるのか?その視点があれば、もっと状況は変わっていたのではないだろうか?