日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

利己心と利他

2018-11-20 20:43:24 | 徒然

衝撃的な日産の会長・カルロス・ゴーン氏の逮捕から、丸1日がたった。
丸1日という時間の経過で、ゴーン氏と今回の事件を主導したといわれる代表取締役グレッグ・ケリー氏が行った?と思われる事件の一部が、徐々にわかってきた。

報酬額50億円の過少記載、という内容は金額も大きくセンセーショナルではあるが、これまでミュシュランやルノーといった企業の経営に携わってきたゴーン氏が、自分の地位を危うくするような「虚偽記載」を何故するようになったのか?という、疑問はいまだに不明なままだ。
ただ、高額といわれ続けてきたゴーン氏(やおそらく代表取締役のグレッグ・ケリー氏も)の報酬額は、適正なものであったのか?というところから、検証していく必要があるような気がしている。

ここで問題になるのは「高額な報酬」だ。
よく、米国などのファンドマネージャーなどは「高額な報酬を得ている職業」といわれ、経済が落ち込むたびに問題視される。
しかし、彼らの「報酬」というのは、実際にどれだけ利益を上げたのか?というところから、試算される為大きな利益を上げれば上げるほど、その報酬額は高額なものとなり、世間一般の労働者の年収とは比べものにならないほどになる、といわれている。
もし、同様の考えからゴーン氏やケリー氏の報酬額が決められていた(「利益の何%を報酬とする」というような考え)であったとするなら、企業母体が大きければ大きいほど、受け取る報酬額は当然増えてくる。
一方、日本人取締役などが「報酬」ではなく、「給与」だとしたら試算される根本が変わってしまう。
「給与」は「賃金(=労働の対価)」であり、「報酬」とは全く違う考えで試算される、ということになる。

そのような「違い」を踏まえて、今回のことを考えてみると「利己心」という言葉を思い浮かべるのだ。
ファンドマネージャーなどを描いた映画「ウォールストリート」では、「強欲は善だ」という台詞が登場する。
映画であれば、笑って済ませられるような台詞であっても、いざ現実にそのような行動をする人をみると、多くのひとは「利己心の強い人」と、眉を顰めるだろう。
現実には、そのような「利己心の強い人」が世界中には数多くいて、そのような人たちが経済の一部を動かしている、ということも事実だ。

だが、そのような「利己心」的思考は、これから先社会から受け入れられなくなっていくだろう。
まして、日本では経営の神様と呼ばれた松下幸之助を信望する経営者は多い。
その松下幸之助は、経営には「利他」が必要である、と説いている。
「企業は社会の公器である」とも言っている。
企業が社会の公器であるためには、企業を経営する為には「利他の精神」が必要である、ということなのだ。

松下幸之助の考えは、いかにも日本的と言ってしまえばそれまでだが、今回のような事件が起きると改めて「企業とは何か?」ということを、経営者や企業のトップは問い続ける必要があるのでは?と、考えてしまうのだ。



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